miyabi.nの下半期ベストアクト


作品部門
維新派「麦藁少年」
KUTO-10「アイスクリームマン」
化石オートバイ「50000年」
三角フラスコ「オレンジ・ブルース」
スクエア「だし」

役者部門

一色忍(ジャブジャブサーキット)
江口恵美(桃園会)
金田典子(199Q太陽族)
沖埜楽子
寺十吾(tsumazuki no ishi)

きたしばという関西エリア重点な場を考慮しての選択、某フォーラムでの投票
と若干違う点はご容赦。名古屋エリアの役者さん選んじゃったのは、お隣の近
しさからかも。公演は、むろん関西で行う規定に準拠。「麦藁少年」は、東京
行くより時間かかった気するけど、ちゃんと公演地の規定内。

「水街」もプールを舞台にするという大胆かつ圧倒的な美術装置、エネルギッ
シュで統制とれた美しいパフォーマンス見せる維新派の面目躍如、なにより産
業革命そして戦争へと向かう近代日本を、底辺支えた沖縄からの移住民の目で
描いた松本雄吉の歴史観光る。が、たった2日間、旧熊野本宮の緑したたる杜
にこつ然と現れ、そして去って行った「麦藁少年」たちが、ずっとずっといと
おしい。SEとも自然音とも判別つかない蝉しぐれ、虫の音が響く中、かがり
火に浮かんだ少年たち。カゲロウのようにはかないそれは、杜の精霊が見せた
幻だったに違いない。

「アイスクリームマン」バラエティあふれる出演者。役者のクセ個性を押さえ
つつ、シュールな岩松了作品をキチッと提示してのけた岩崎正裕の豪腕演出。
化石オートバイ。これが旗揚げ2作品目とは思えぬ驚異の完成度、オリジナリ
ティの高さ。脚立だけの装置、4人だけの出演者という潔さ。1人3役をシ
チュエーション切替も、小気味良く。怒涛の勢いなストーリーにしみじみせつ
なさもあふれる。「オレンジ・ブルース」近未来ブラックなサスペンス、問題
提起しつつ、物語自体にひきつける魅力あり。核原燃料事故直後というタイミ
ング良さも。時制と役者切替、会話のうまさ、キレが独特。スクエアは、とに
かく個人的に好き。このだらだらした雰囲気、おかしさ、楽しさはゆったり長
風呂に浸かる気分。

役者ベストは、けっこう悩みまくり。メジャー省き、関西系というワク嵌める
と、昨年後半はドングリの背くらべだったかも。で、女優4人は、個人的な好
み、ハッキシ言って。一色忍は、ひとり芝居でがんばった評価(ピンで舞台に
立つ偉業)とまだまだ伸びるはずという期待込めての1位。江口恵美は、再演
「うちやまつり」で役作り深めた点、自分で自分を超える目標を建て、それを
クリアするというのも大変なこと。金田典子は、もうこのまま勝手に突っ走っ
て欲しい、おまかせおまかせノリコにおまかせっ(某新感線の名曲フレーズ
で)。沖埜楽子、可愛くてセクシーでキュート、言うことなし。公演回数増や
せ、もっと舞台に立てが唯一の注文。ただ1人、男優で選ばれた快挙は「OS
HIMAI〜くだんの件」での怪演たまげた寺十吾。エンドレス繰り返し再生
な演出といい、それ続ける役者のテンションといい、恐るべし天野天街な世
界。