SOMAの下半期ベストアクト



1位 維新派 ヂャンヂャン☆オペラ「王国」
劇場に入って舞台を臨むと林立する丸太。これから演劇が始まるとは思えない。

どうなるんだろうと開演を待つ。と、もぞもぞと役者たち。

他にも印象深いシーンが一杯あるけど、いやぁ、この冒頭のシーンだけでもう1位の価値充分だ!
ストーリーにいまいちの感もあるが、美術・装置・音楽・役者がそれを補って余りあり。


2位 199Q太陽族「それを夢と知らない」


個人的に太陽族は「ここからは遠い国」を超えたと思う。
あれだけの人数を登場させながら、各人の背景から心の機微までを痛
いほど伝え、緻密に纏め上げる脚本の力量は凄い。脱帽です。
役者さんも巧い人ばっかりなので、その脚本のよさが正確に伝わる。

3位 ジャブジャブサーキット「非常怪談」

いやはやよくできた芝居でした。本も緻密で丁寧で、それでいてあざ
とい感じは無く、ラストシーンなんかはゾクッとくるようなものなん
だけど、なんだかほっこり暖かい肌触りでした。

4位 劇団衛星「脳天気番長出馬する」


舞台装置ほとんど無し、照明・音響超お粗末など、はっきり言って粗
削りです。んで、内容はおバカ(それもしょうもないのやベタなの)
を基本に、ストレート極まりない真面目さもちょこっと。
こんなのけなすんですけど、でも、なんだか、いいんだよね。
「魂」が見えるっていうか。

5位 転球劇場「あ・ほーまんす」

 原作知らないんですけど、アレンジしまくりでしょう、これは。
「こんなんまるまる転球劇場やん」って感じで、もう大笑い。
個性的な役者を揃えたのも大成功。
転球さんの演劇に対する愛が溢れてました。


役者部門

1位 高木稟(転球劇場)

ワンパターンです。演技してないと思います。しかし、一度舞台に登
場したら、その存在感は舞台をかっさらって行きます。
それだけで、凄い役者と言えるじゃないですか、多分。
でも、一度シリアスなのも観てみたい気もします。

2位 荘加真美(ジャブジャブサーキット)

「非常怪談」でのあのオバチャン役。誰が見ても「おるおる、こんな
おばちゃん」って言うでしょう、あれは。実際はお若いのに、あの演
技は年齢を超越してましたね。女優の怖さを見せられました。

3位 岸部孝子(199Q太陽族)

実は私、岸部さんってあんまり好きじゃないんですよ。あの独特のち
ょっと鼻に掛かる発音が駄目なんです。台詞を聞きにくいんです。
でも役者は台詞だけじゃないです。「それを夢と知らない」での歯科
医役でこの人の巧さを再認識しました。あのいやらしさとか強さ。ち
ょっとした表情が良いですねぇ。

4位 一色正春(MONO)


MONOの役者と言うと水沼さんが目立つんですが、前々作・前作と
一色さんの巧さが際立つようになったと思います。「きゅうり」での
いやらしさ・「鉄塔」での憎めなさ、いや、ほんと、みるみるうちに
巧くなったなぁ。


5位 楠見薫(遊気舎)

好きだからね。(^^ゞ
下期は真面目な役ばかりだったのがちょっと残念。
でも、それをそつなくこなす力量は流石の一言でしょう。でも、あの
コメディエンヌの資質がもったいないよな。うべんさんみたいな感じ
で本筋と関係無いところで遊ばしてあげてやって欲しいなぁ。