あれの下半期ベストアクト

1位 市村正親ソロ・パフォーマンス『クリスマス・キャロル』
 53もの役を演じわけることも確かにすごいけれど、それ以上にすごいと思った
のは市村さんのひとつひとつの体の動きの美しさ。自らこの作品を選び、「ライ
フワーク」と呼んで舞台に立っている市村さんに、「充実」を見ました。

2位 青年団プロデュースVol. 7『新版・小町風伝』

 AI HALLのスペースいっぱいに広く横たえられた舞台と、これまでも、また
これからも、ずっと同じ調子で生き長らえていくらしい「小町」たち。観てい
るうちに徐々に強くなってきたその気持ち悪さがお気に入りだった作品。

3位 劇団M.O.P.『夏のランナー』

  ちらしから受けていた印象を見事に(いいほうに)裏切ってくれた本作。
楽しく見られる場面をふんだんに入れながら、人の弱い部分、自分で認めたく
ない部分をごまかさずに直截に描きだしていた点がよかった。

4位 遊気舎プロデュース『びよ〜ん』

 視点のシニカルさと、「芝居を観に来た」客を馬鹿にした展開がよかった。
他のどの劇団にもない、甘さに流れないブラックなお笑い、ネタの濫用も好き
でした。

5位 ひょうご舞台芸術『陽ざかりの女たち』

職業人として確固たる見識を持っている登場人物達は、観ていて爽快でした。
こういう女性像、わたしの知る英語圏ではなじみのあるものだけれど、日本製の
芝居ではめったにお目にかかれない。これをとりあげ、その穴を埋めてくれた制
作者に感謝。

次点 199Q太陽族『それを夢と知らない』
劇団ジャブジャブサーキット『非常階段』
パルコ・プロデュース『笑の大学』

『それを夢と知らない』で、199Q太陽族は自分たちの芝居のひとつのカタチを
完成させたように感じた。『非常階段』では、日常の中でたまに顔を出す非常が、
芝居ならではのおもしろさで描かれていた。『笑の大学』は、ものすごく話題に
なった初演を見逃していたので、やっと観られて嬉しかった。2人のやりとりと
いい、展開といい、絶妙でした。

役者部門

白石加代子
中村梅玉
楠見薫
八田麻住
金替康博