あれの上半期ベストアクト
高校時代の記憶を鮮やかに蘇らせてくれた登場人物たち。そこに仕組まれたなにげない仕掛けが転じてわたしの急所をいきなり突いてきて、不覚にも泣いてしまった作品。
十代で親友を突然亡くすってどんな感じなんでしょうね。
わたしの場合はもう自分が何をやって生きていくのかつかんだ後ではあったのですが、生きていてさえくれたら相談できたのに、と思う局面はもう年中。
2位 |
『ロミオとジュリエット』 芸術監督・演出 蜷川幸雄 |
全然悲しくないロミオとジュリエット。2人が持つ、若さゆえのある種の狂気が前面に押しだされていて、悲劇というより大恋愛叙事詩の感。
堀尾幸男さんによる無機質かつ美しい、仕掛けいっぱいの装置も見事でした。
わたし、子供の頃から名前の難しい登場人物が大勢でてきてごちゃごちゃになってしまうような長編小説が好きなんですよね。たくさんの魅力的な(色気のある)人物が時空を超えて交錯する本作品、上質のエンターテイメントとして楽しみました。
物語の面白さもさることながら、市村正親・麻美れいという2大スターの迫力、そして演出の妙に圧倒された感。釈放されるモリーナにことづてを頼むヴァレンティンがかける「男になれ、モリーナ」というセリフに女のわたしは今でもひっかかってるけど。2人の間のジェンダー観の差を際立たせるって演出でもなかったし。勇気を持って行動するのは男の専売特許じゃないのよん。
5位 |
『Return Match 新・曽根崎心中』 |
近松門左衛門の心中譚をベースとする命懸けの恋の物語に、身分制度の矛盾を感じながらそこから自由になれない人間の弱さを重ねあわせるという視点の新しさにまず感心。役者も熱演、しかしなんと言ってもよかったのは照明。