よっしーの上半期ベストアクト



1位 転球劇場VS hot hip trampoline school異種舞台技最上決定戦vol.1『種』
2位 劇団ジャブジャブサーキット『高野の七福神』
3位 HIGHLEG JESUS『浪花節だよJESUSは』

次点
サーカス・サークール『TRIX.』

【コメント】
 こうしてベスト3を並べたら、私にしちゃ珍しい事に娯楽指向の芝居が上位に
来ましたね。三十路に突入していろいろ疲れてるのか我ながら、という個人的事
情はほっといて。
 1位の異種舞台技最上決定戦と3位のハイレグに共通して言えるのは、揺るぎ
ないほどに「楽しけりゃいいってコトよ!」という潔さに徹していた点ですね。
演劇的なテーマがどうとか作家の主張が何とかいう自意識的な有象無象の一切を
捨て去り、観客を楽しませることにひたすら集中して最後の1秒まで突っ走って
いたと感じました。その両者の高純度のサービス精神には、たまらないほどの快
楽とささやかな幸せをいただきましたです、ハイ。まあハイレグに至っては、サ
ービス過剰でほとんど嫌がらせに近いモノもあったけど(笑)。あと異種舞台技最
上決定戦は、ミュージカルとも音楽劇とも違う音楽バンドと劇団のジョイントの
可能性を開いたという意味でも、上半期の1位に挙げるにふさわしいのではと思
います。
 で、この2組と毛色の違うジャブジャブ。劇団最高傑作との声が高い『非常怪
談』を見てないから断言はしにくいけど、私的には今まで見たジャブジャブの中
で一番好き。ジャブジャブお得意の謎解きの部分がさほど入り組んでないことも
あって、単純にストーリーの醍醐味を楽しめたからかもしれないです。特に劇中
で語られる祭りの豆知識や七福神の由来とかは、リアリティを上げる効果はもち
ろんだけど勉強にもなってお得感倍って感じでしたね。
 そして次点のサーカス・サークール。「アングラ版サルティンバンコ」と言い
たくなるようなサーカス芸は文句なく素晴らしくて、本来ならベスト1に挙げて
いいぐらいの内容だったんですが…見たのが7/1だからなあ(初日は6/30)。観
劇直後なだけに印象が強すぎて他の演目と比べにくい事もあり、今回はあえて除
外させていただきました。でもまた来日したら絶対行くでやー!

役者部門

1位 橋田雄一郎(転球劇場)
2位 栗木己義(劇団ジャブジャブサーキット)
3位 岸潤一郎(HIGHLEG JESUS)

【コメント】
 しかしなんでベスト3に上げた演目からしか役者を選べないのか? という疑
問はやはりさておき、今回のベスト役者は好演つーより、“怪演”の視点で選ん
でますわね私。
 橋田さんと栗木さんは、2人とも普段の劇団公演では割とノーマルな役で舞台
を支えてるって印象が強かったのですが、どちらも上記公演ではそのイメージを
見事に覆す演技を披露。濃いぃ目張りとどうかと思うようなドラミングで究極の
勘違いバンドマンを嬉々として演じてた橋田さんにもぶっ飛びましたが、テキ屋
の親分を演じた栗木さんも「ジャブジャブにあんな強面の人いたっけか?」と一
瞬誰かわかんなかったほど坊主頭&ヒゲ面&凄みの効いた語り口が新鮮でした。
って言うかヤーさん一歩手前な雰囲気に本気でビビりました。
 岸君は演技云々というより、エレファントカシマシの『ガストロレンジャー』
に乗せてメンバーがプライベートトークをぶちまける、「エレファントカリクビ
」(しかし苦しいシャレだね)というネタ一発でヤラレてしまったためにベスト
3に入れました。「大阪に着いてから急に歯が痛み出して、扇町の歯科医に駆け
込んで…」という生々しい体験を暴露した末に「○○医院、ヤブーッ!!」のシャ
ウトで締めた、その雄叫びにキュンと来ちゃったの……アカンか? そんな選び
方は。
 で、ベスト3以外からの演目で選べるとしたら、1保村大和(シャトナー研『
ハムレット』)2荒川良々(大人計画『エロスの果て』)3大谷亮介(原田宗典
アワー『彼の人生の場合』)って所でしょう。


よっしープロフィール
 演劇とロックとその時の気分によって四方山の物どもを愛する30歳ジャストの
♀。プライベートでの上半期は……産まれて初めて手術っつー物を受けたりはし
たけど全体的には平穏。下半期もこの調子で生きたいところだが、維新派追っか
けてヨーロッパに行ってまうかも。好きだね私も。