miyabi.nの下半期ベストアクト


作品
1位 ぼちぼちいこか(199Q太陽族)
2位 水いらずの星(羊団)
3位 すずかけさん、ガルボン・ブエノ通りで唄う(PM/飛ぶ教室)

役者
1位 咲田とばこ(ジャプジャブサーキット)
2位 岸本多恵子(ランニングシアターダッシュ)
3位 紀伊川淳(桃園会)

あらためて大阪の街を体感するいいキッカケとなったのが、街踏劇
「ぼちぼちいこか」。三箇所の会場を役者とともに、歩きながらあ
るいは地下鉄で移動しつつ、劇空間を共有する試み。一日にして、
劇中で数十年を体感する。緻密なロケハン、劇場でない拡散する
広い空間に存在感を示した役者に畏敬すら覚える。

今や売れっ子脚本家、多作ぶりを誇示する松田正隆が、よく知りう
るからこそ本領発揮したかつての劇団仲間への提供作。人間の精
神内部の暗い面を見つめ、けっして目をそらさない作家のストイシ
ズムに打たれる。

ノリにノッてる蟷螂襲、日本を海外の視点から捉えて、ひきしまった
舞台。饒舌な中に沈黙の重さを感じる。独白、対話中心の構造な
ので、あとはアンサンブルが課題。

ジャブジャブの制作しつつも、看板女優をこなす多才ぶり。燐光群
とのジョイント公演「神田川の妻」の透明感に震えた。

今や押しも押されもせぬダッシュのヒロイン、岸本多恵子。新機軸
を打ち出した「EBIRTH」でペテラン佐久間京子とタイマンをはる。

「世界に一家」で、変わらず人間の暗部をえぐりだす桃園会。両親
のいない大家族、長男としての責任感じながらも、明るく「ゆーてね」
とかわす紀伊川淳に一票。