miyabi.nの上半期ベストアクト



1位 PM/飛ぶ教室「船唄。霧の中を行くための」
2位 世界一団「プレゼンツ」
3位 デス電所「The Beginnig And The End」

役者部門

1位 江口恵美(桃園会)「仮説『I』を棄却するマリコ」
2位 若草鹿(上海太郎舞踏公司)「パラドックス」
3位 松本喜美子「女生徒」

飛ぶ教室。饒舌と沈黙、優しさと暴力、情念と理。矛盾抱える人間の哀しさ
を、劇的にそして詩的に描いて独自の境地極める。もはや蟷螂の独白にたよら
ない役者の成長、戯曲の強さ。完璧なまでの美術、照明、音響とあいまって、
その美学は一瞬たりとも弛まない。

世界一団。小空間カラビンカの1F入り口で、役者がお出迎えしてのご注意あ
れこれ。本番始まるまで役者はおしゃべり出来ない設定、スケッチブックなど
使っての誘導。途中の階段もリボンで巻いたプレゼント箱で飾りつけ、チケッ
トは日替わりデザインの整理番号付きバッジとおしゃれ。二人が別れることに
なる運命のオルゴール、そのプレゼントシーンをオムニバスで綴る2人芝居シ
リーズ。生バンド入ってのムードあふれる会話に胸キュン。役者同士の息ぴっ
たり、カップル組み合わせも妙。

デス電所。キャンパスカップ最優秀賞もむべなるかな。まだ荒削りながら、
ロック、コミック、カルト映画、パフォーマンスすべてミックスの独創性。
シュールなギャグに、ヘタうま魅力。自殺図り墜落する男の一瞬によぎる過去
を万華鏡に、そして死についてのあれこれナンセンスをカットバックで展開。
前衛ながらノスタルジーな映像センス、歯切れ良さとダルさ兼ね備えた絶妙間
合い、散りばめられたジグソー楽しむように体感。

江口恵美。彼女と劇場のためスペシャルに用意されたぜいたく企画。推理サス
ペンス得意な脚本・はせが、無垢な少女が本来持つ残酷な本能を解剖する。客
席と舞台の区別ない空間、現実でもある雑居ビル内での虚々実々のかけひき。
息使い聞こえる狭さの中、濃密なテンション途切らせずの根性にハマる。

若草鹿。小悪魔的可愛さ。全身の動きのしなやかさ、顔いっぱい使っての表情
に陶然。

松本喜美子。今年最初の観劇にして、ひとり芝居。太宰治原作をモノローグす
るが、感性あふれる年頃のお嬢様を熱演して、うっとり。ムキになる仕草表情
が、端正にして涼やかな彼女の別の魅力をあぶりだす。