観た本数は17本。他にいろいろ目が行っていたので、観劇量少ないです。また、一
度そこそこ満足した劇団でも“そこそこ”が故に、敢えて避けてまだ未見の劇団の方
へ走ってみたり(で、おもいきりハズしてみたり)。リスクとコストパフォーマンス
を考えると、本の方がお得やなぁ、・・・とか思いつつ、またぼちぼち観続けるでし
ょう、この先も。うん、お芝居はいいね(フォローになってない)。
1位 | 「錦鯉」 MONO |
2位 | 「俺のやさしさ」 スクエア |
3位 | 「笑う人魚の世界」 エビス堂大交響楽団 |
役者部門
1位 | 土田英生 |
2位 | 上田一軒 |
3位 | 下出麻衣子 |
MONOに関しては、“勘違いやしょーもない疑問をどんどん誤った方向に持ってい
く”タイプの些細な笑いが、高い年齢層にも馴染みやすくて、そこら辺が人気の秘訣
なのかな、という気もするのですが、私が好きなのは笑いではなく、むしろ隙間から
垣間見えるペーソス、みたいな部分です(この芝居では最后の辺)。それにまた此処
って、なんか中心を上手くはぐらかしてある“不透明な部分”と、見るからに分かり
易い“クリアな部分”との両方が介在してるので、不思議な歯ごたえがありますし。
“不透明な部分”に関しては、今時のJ文学でも“逸らし”の手法は定番なので、私
もやっぱり時代の影響受けてんのかな、と思ったりします(好みとか)。そうそう、
土田さんの演技は目を引いたんですよね。別に演技が大袈裟で目立ったとかそういう
のではなく、むしろ逆の点から。大仰じゃなくてもヤクザとしての凄みが“身体から
漂う空気”としてちゃんと出ていたのです。以前ぜんぜん違うタイプの演技を観てい
ただけに、「ああ、この人、わざとらしい身振り手振りに頼らないでも、ここまでち
ゃんと表せる人なんだ・・・」と感銘を受けました。
スクエアは相変わらずキャラクタたちが愛おしくて、舞台美術が貧乏臭くて(笑)。
北村守お得意の、ブッ壊れたスキゾフレニアックな人格も良いのですが、今回は、そ
の辺の中小企業なオヤジしていた上田一軒さんにやられてしまいました。オヤジの論
理で何でも強引に話を進めていく性格に、あの横暴さと優しさのない交ぜになった理
不尽さが加わって。この人も前回と全く違う役処を違和感なく見せてくれたので、「
をを、出来る!」と改めて思ったのでした。
エビス堂は、いつも“笑える冒険活劇”なのですが、退屈しないんです。めまぐるし
い状況変化だのウンチクだののフォローに忙しくて、「どうせこーなってこーなって
あーなるんでしょ、」とか我に返ってる隙がない。ストーリィラインなんて漫画やア
ニメで既に出尽くしてるエンタメ群の中、“フォローに忙しい”というのは大きな武
器でしょう。先が読めると、状況が変わるまで気ィ抜いて冷めてしまいますから(い
くら舞台では役者がアツイ台詞を叫んでいても;)。・・・このままもっと(話の流
れも役者も)洗練されて、よりカンペキに近づいていって欲しいな、って思います。
下出麻衣子さんは、いるかホテルの「花火みたい」に出ていた役者さん。屋上で恋人
に何度も電話しながら、自殺しようと試みる女の人の役でした。チラシで仰向けの逆
さのアップになっていた人だと思います。当日フライヤをみると「寝屋川のお嬢様」
というキャプションが。うーむ、庶民の夢が膨らみます(笑)。だって本当に上品で
きれいな人だったんだもん。上品さは演技からも滲み出ていましたし。可愛い人・キ
レイな人は沢山いても、案外“上品な美しい人”って見掛けませんから。久しぶりに
「上品できれいな人みちゃったー♪」って思いました。それだもんで、未だになんだ
か脳裏に残ってます。
・・・といった文章を推敲しなおしている日に、溜まらなく私好みのお芝居に出会っ
てしまいました。勿論、TVでも映画でも取り替えがきかないような素晴らしい舞台
です。最近観劇離れを起こしかけている私を、お芝居の神様が引き戻そうとしたのか
もしれません。・・・これだから、また観に行ってしまうんですよねぇ(笑)。