12月

●全回宣言した通り、これだけは最低見れるだろうって芝居だけを抜粋いたしました。あと東京だけでやる少年王者舘の番外公演も、自他共に認める天野天街マニアの私としては気になるが、この前『パンドラの鐘』見に東京行ったばかりだしなあ……(泣)。
●で、今月一番のオススメはなんてったって石原正一ショーです。70〜80年代のアニメやTVショーを題材にした「オタク的郷愁」と言うべきお芝居です。元ネタわかんなくても、お馴染みの役者さんたちが変なコスプレをして「ごっこ」ノリの芝居をしてるというのが、見てて面白いらしいです。ちなみに私のように石原氏とほぼ同年代の人間であれば、「あ〜、あったあったそんな漫画。懐かし〜!」というような見方もできて2倍お得(笑)。ちなみに今回は松本零士アニメのキャラクターが大挙出演(?)するとか…。

●頼む、関西公演してくれ〜! と、私がことあるごとに祈り続けた甲斐あって(かどうかは知らんが)、別役実、KERAに続くニューウェーブ・ナンセンス作家のブルースカイ率いる猫ニャーが、とうとう大阪にやって来ます。しかし既製の笑いにカテゴライズされない超脱力ナンセンスと評判の舞台が、「笑い=ボケ・ツッコミ」という構図が根強く残る関西であっさり受け入れられるかどうかは疑問。実際私の知り合いは全然ダメだったらしい。自分の「笑い」の許容範囲を測れるという意味でも必見でございます。

●『お正月』は、関西のとある家の大広間を舞台に、その家の100年間のお正月風景だけを親子4代に渡って描き出すという、結構スケールの大きなお芝居です。いよいよ2000年を迎えるにあたり、日本の100年を振り返るという意味で見ると興味深いのではないでしょうか。ま、わかぎさんですから肩の力の抜けた、ほのぼのっとした会話が楽しめるのではと思います。M.O.P.の小市さんや劇団☆新感線の粟根さんや花組芝居の植本さんや遊気舎の楠見さんやPM/飛ぶ教室の蟷螂さんetc.…と、ここに書ききれないほど出演者も豪華です。正に年末にふさわしいやね。

11月

●最近ここに書いた半分程度の公演しか見てないことが続いたため、それはあまりにも不実だなあと反省し、ちゃんと見るであろうものだけを書くことにした。公演を半分に絞っただけで、メール打つのが楽ですねえ。(←実はそれが一番の目的だったりして…)

●今回の私的オススメの筆頭はPiper。劇団名の由来が実はプロレスラーの名前だと言うことを最近後藤大王から聞かされ少なからずショックを受けたばかりですが、次回公演の内容もその事実に負けないぐらい衝撃的です。かつて売名行為解散公演で上演された伝説のコントで、隣り合った部屋で電話をする男2人の会話を同時進行で見せる『ホテル』という傑作がありましたが、今回はその2時間バージョンみたいなもの。つまりは一人の要人を暗殺する側と護衛する側の話を
、同じ舞台上で全く同時に見せるとのこと。そして先のコントと同じく、2組の話の内容を巧みにリンクさせることで笑いと興奮を生む芝居になるそうです。これが上手くいったら、メチャメチャすごいですよきっと。出演者も130Rの板
尾創路やプロレスラーのビル・ロビンソンなど豪華絢爛。芝居の見せ方をできるだけ劇的にするために特別召還された、MOTHERのG2による美術も楽しみです。

●もう一つのオススメはMONO。劇団最高傑作と評判の高い作品の再演です。ホモだけが住むアパートを舞台に、一人の住人が女性に恋をしたことで生まれる騒動を描いていきます。この芝居は笑いだけでなく、一つの確固たる共同体が些
細なきっかけで簡単に崩れていく様を丹念に描き出したという、シリアスな面でも評価されています。土田英生の持つ笑いの面とダークな面が上手く融合しているという点では、正に必見の舞台です。

●ユニークなシチュエーションと巧妙な会話で笑いを生み出すという点では、あまりにMONOと共通点の多いスクエアですが、いよいよOMSに進出。どちらかというと彼らの方が笑いの頻度は上なので、純粋に笑いを目的とするならこちらへどうぞ。

●『大正四谷怪談』は、藤原竜也見るだけでも買い。この前私に続いて、オジ好みの友人までもが、東京公演を見て藤原竜也に走ったそうだ…。まだあどけない少年のクセして、どうやら彼は年増好みの人間すらもたぶらかすことができる、特別なオーラの持ち主らしい。その天性の色気を、小さな空間でじっくり確認しましょう。

●神戸ニュー・ウェーブ・シアターの一環でやってくる丹野賢一は、ガラスやボルトなどを使ったサイバーパンクっぽいインスタレーション的舞台で、即興に近いパフォーマンスを展開。またこれがボルトの山に身体を投げ出したり、鏡を次
々に叩き割ったりと危険なことこの上ない。なんつーか「一人日本維新派」(維新派ではなく『日本維新派』という所がミソ)という感じです。東京からの人ですが、こういう向こう見ずなパフォーマンスって、関西人の方が受けるかもしれないです。

10月

●さすが芸術の秋っつーんですか? もうありすぎて勧める気にもなんねぇ状況だと普通なら投げてしまう私ですが、今年はそうは行きません。何せ私の愛する2大フェイバリット、維新派と少年王者舘の公演が一月にいっぺんも見れてしまうんですからねー!ああ、幸せすぎ。

●まずは日付順で少年王者舘の二人芝居から。昨年の東京公演で初めてこの芝居を見た時の衝撃は、それはそれは言葉にし難いものでした。言葉の一つ一つに翻弄され、周到に複線を張りまくったストーリーに驚愕し、ただただラストまで瞬きも出来ないくらい舞台を凝視していたことを覚えています。でもってそれだけ真剣に見ていたにもかかわらず、まるで夢でも見ていたかのような曖昧な感覚の
みが残る、そんな芝居でした。「くだん」とは頭が牛で身体が人間の怪物で、数百年に一度生まれては悲劇的な予言を残して死んでいくと言われています。昔ここで「くだん」を飼っていたという男と、その家に住む男の奇妙なやりとりから「くだん」の正体が明らかになっていく過程は、あまりにもスリリングです。普段の王者舘より笑いの部分も大きいので、天野天街の世界は難しくて…という人も抵抗なく入れるのではないでしょうか。

●でもって関西に住んでる人だったら立ち会っとかなあかんでしょな維新派は、今回大阪港に実際に存在した水上の街を舞台にした芝居を上演。なんせ舞台上に30トンの水を張った運河を造ってしまうというのだから、スケールでか過ぎでございます。前回の『王國』も未来の大阪が舞台でしたが、あの芝居を見た後大阪の街を眺めると、何となく昨日まで見ていた「オオサカ」とは違うモノに見えたりして、日常生活まであの世界が浸食してきてしばらく困り者でした。今回は「過去の大阪」が舞台なだけあって、妄想がますます加速する予感大でございます。会場前に出る屋台のシシカバブ食べに行くだけでも劇場に足を運ぶ価値アリ。ただし防寒の用意だけはしっかりとやっときましょう。

●えーと、あと何があったっけ……?(苦笑)ピスタチオ、桃園会、ジャブジャブサーキットはまあいつも通り手堅くオススメという感じかな。特にピスタチオは客演陣が前回に引き続きって人が多いので、アンサンブル面の強化が期待できそうです。転球劇場の高木稟の活躍も気になる。桃園会も今回は岸田戯曲賞作を上演するので、前回見逃した人は必見ですね。パッと見ピンと来ない作品だと思う
けど。ジャブジャブは新作でこっち来るのはたぶん2年振りじゃないかな。東京公演を経てから来るので、クオリティは悪くないと思います。

●ダンス苦手を公言する私としてはめずらしく推すのがカンドゥーコ。車椅子の人が中心となって結成したイギリスのダンスカンパニーなんですが、このダンスってのがむっちゃカッコエエんです。なんせ健常者ダンサーが車椅子を力一杯押し出したり、車椅子をぶつけたりと、「障害者だから…」という甘えや遠慮一切ナシの高度なダンスを見せるのです。どうしても芸術的側面より社会的役割とい
う面で論議されがちな障害者ダンス観に、間違いなく一石を投じる作品となるはずです。

●あ、あとアングラ好きも公言する私としては、船の上(!)で野外劇をする犯罪友の会と、シェイクスピアの『テンペスト』を大誤訳した野外劇を上演する遊劇体も見逃せません。さ、これぐらいにしといたろか。

9月

●いかんな、私の好きな人々の公演が多すぎる。特に最近熱烈なラブコールが過ぎて、しまいにうっとおしがられるのちゃうかと密かに恐れている福田転球様、大活躍です。彼が出演する2つのプロデュース、岩松了作品を上演するKUTO-10とおバカなコントの連発が楽しい大田王は、どちらも真面目に考えたって必見です。ちなみにこの2公演、久保田浩(遊気舎)と山内圭哉(元リリパット・アーミー)もダブル出演しているのでした。しかも両方劇場はOMS…ってえらいかぶっとるな〜。やる芝居は全然違うのに(笑)。3人ともタイプは違えどエエ男さんなので、ミーハーさんはこの2公演見逃せまっせーん。

●ご贔屓様と言えば、実は私より2歳年上ということが分かってしまった大庭新二さん(てっきり年下だと思ってたので、ずっと「君」付けしてました。スイマセン)の出るランニングシアターダッシュもオススメ。ダッシュのギャグシーン
って、実は大庭さんがほとんど考えていらっしゃるそうです。あの細い体で…(関係ないか)。今回は淀川でよく見かけるレガッタ(ボートレースの総称)がテーマ。客演はTEAM発砲・B・ZINの平野くんじ。彼もなかなかエエ男さんですので、やっぱりミーハーさん見逃すなあ!

●こちらも大田王に出演する(っつーか、中心人物の一人)三上市朗さんがいるM.O.P.も、久々に時代劇やってくれます。三上さんの立ち回りって、言葉失うぐらいカッコいいんですわなー、マジで。殺陣シーンだけでもやっぱりミーハーさん必見。

●トリオ天満宮JAPANの魔人ハンターミツルギさんもよく見るといい男である。

●実は桃園会も美形が多いぞ。でも今回松蔵さんがいないけど。

●大穴では、船の階に出演する由螺(遊劇体)さんもクール系のハンサムさんだ。ちなみにこの作品の作家は、OMS戯曲賞佳作の久野那美さんである。

●上海太郎さん…は格段ハンサムではないけど、エッチな一人マイムばっかり集めた本作は、結構腰にくると思う。

●そしてH・アール・カオスの白川直子…おっと、女性だ。しかし性別を超えた
中世的な肉体と、「ニジンスキーの再来」と評される人間離れした動きは、ミー
ハーでなくても一度は見ておきましょう。

●というわけで9月の演劇界を勝手に「目の保養月間」と名付けたいよっしーでした。

8月

●これを書いている7/28の時点ではまだ地球が滅びる兆候は見えませんが、みなさま生きておりますでしょうか。8月はスーパーに面白そうな芝居が数本あります。どうせ滅亡するならこれらが終わってからにしてほしいもんですホント。

●その中でも「これ見る前に死んでしもたら絶対神サンいてもうたるぞ!!」と河内弁ですごんでおきたいのが…もう皆様おわかりですね。この欄でさんざん私がラブコールを送っている少年王者舘でございます。今回は「盲人の夢」がテーマ。生まれつき目が見えず、触覚や嗅覚、聴覚などを頼りに生きている人は、一体どんな夢を見るのか…? を、「粉」という言葉をキーワードに表現していきま
す。普段の王者舘の芝居でも「耳に入ってくる言葉」や「蚊取り線香や天花粉の匂い」など視覚以外の部分は多用されていますが、今回はそれをもっと拡大した、五感をフルに刺激する舞台になるのでは…と思います。とにかく、今までに見たことのないような演劇を見たい人には絶対オススメ。これを見ずに死ねるか!

●初の近鉄アート館公演も立ち見が出るほどの大盛況、おかしくも哀しい会話で盛り上がる芝居の内容も相変わらず素晴らしかったMONOの作家、土田英生。関西演劇界の切り札である彼が、とうとうG2プロデュースに進出です。今回の演出はそとばこまちの山西惇。役者で見せる舞台が十八番のG2ではなく山西さんが演出と言うことで、土田のストーリーテリングの妙を存分に生かした舞台になるのでは、と期待。出演者も元東京壱組の大谷亮介や劇団☆新感線の逆木圭一郎などと、今までのG2プロデュースとは違う地味シブな路線というのも気になるポイントです。

●なんと、先月そとばこまちを脱退してしまった石原正一が中心となるのが、石原正一ショー。70年代〜80年代のテレビっ子なら懐かしすぎて涙が出るような、その時代のオマージュにあふれる作品を提供するプロデュース企画です。今回は名前からお察しの通り『キン肉マン』がまな板に上がります。出演者の一人、楠見薫さんがご自身のホームページで「すごいバカ芝居」とやったら強調されてます。最近映画でもなんでも「おバカ」にものゴッツイ飢えてる私としては見逃すわけにはいかない舞台です。

●JISは佐野史郎、『オレアナ』は長塚京三&永作博美と、TVでお馴染みの役者さんの公演がやたら多いのも今月の特徴。しかしどちらも集客目当てのテキトー公演などではなく、前者は竹内銃一郎と組んだ、後者はセクハラ問題をテーマにして論議を起こした「硬派」なお芝居でございます。ただ佐野史郎に関しては一人芝居『マラカス』みたいに、脳のヒューズがどっか1本ブチ切れたような狂った演技を個人的には熱望するワタクシでした。

7月

●………………17本? こうやって自分が今月見てみたい芝居を上げただけでクラクラしてきました。史上最高の観劇予定本数かもしれません。これに加えて遊気舎のプリンス・ジャミー・アリババ(以下略)のイベント「アリババ映画祭」
(7/3・4 スペース・ゼロ)やら、維新派の熊野特別公演(7/17・18 事前申込制だからもう締め切ってると思う)なんてのがあるんだから、体追っつかねえっての今月。まとりあえずオススメゴー。

●今月の「何があっても見ろ」モンの超強力オススメは、それまでのOMSを飛び出して仲良く中劇場進出した上、全く同じ日に舞台を上演するという奇妙な縁につながれた2劇団、MONOと転球劇場。今後G2プロデュース、宮本亜門演出のミュージカル(音楽ウルフルズ!)の脚本も担当するなど、大ブレイク間近な土田英生。もしかすると今後は小さな小屋で見ることが難しくなるかもしれません。見てない人絶対今のうちっスよ。ちなみに今回は世紀末を意識したラブストーリーを展開するそうです。もう7月だもんねえ…。

●前回の遊気舎で役者としての知名度を一気に上げた福田転球さんですが、自分とこの劇団で見せる綿密な構成のお笑いにも要注目。「現実世界を舞台に、大きな事件もなく、会話もあくまで自然で、登場人物たちの関係性だけを見せていく芝居」っつーのが「静かな演劇」の定義だとするなら、彼らの舞台は正に「静かなお笑い」と言っていいかもしれません。しかも今回は客演一切なしの3人芝居
とくれば、濃厚な会話劇が期待できます。

●惑星ピスタチオは、劇団最高傑作と呼んでも差し支えない名作を上演。生身の人間が高速で走るという、生の舞台では到底不可能と思われる表現をやっちゃって、演劇界を驚愕させた作品です。まあ最後の上演時と比べて劇団員はかなり減ってますが、そのハンデすらも凌駕する新ヴァージョンを見せてくれるのは間違いないと思います。なんでも6月末日に試演会があるそうです。詳しくは劇団期
間限定ホームページ(http://www.tam-tam.co.jp/pistaccio/top.html#index)まで。

●キッチュこと松尾貴史と、後藤ひろひとの壮絶な舌戦が今から予想されるAGAPE storeも見逃したくありません。特に大阪外大出身で、舞台でもネイティブ並みの絶妙なDJトークを聞かせてくれる後藤さんの役者っぷりが楽しみざんす〜。ただし演出が私の苦手なG2っていうのが不安材料ではあるが。

●南河内はいつものことだが、脚本が早く上がるか否かによって舞台の出来が変わる。よって期待はしてるけど無責任にオススメはできません。なかなかギャンブル。

●なぜかこのキタ芝では不気味なぐらい評判がいい衛星は、今回野外劇だから個人的には期待大。血液型がテーマというのもまたおかし。

●というわけでサクサクっと以上。

P.S. 英国帰りで動向が注目される鴻上ネットワークが抜けてるのでは? と言われそうだけど、忘れてはいないよん。単にあまり期待してないから薦めないだけ〜。見ることは見るけど。

6月

●オススメスペースが足らんぐらい注目作が多かった先月と比べ今月は…………………(長い沈黙)………この沈黙から推し量れるでしょうが行ってみましょう。

●まず安心してオススメできるのが桃園会の新作、『東京原子核クラブ』、『ART』の3本。岸田受賞後ますます絶好調な桃園会ですが、戯曲・演出・役者ともども現在の関西演劇界安定度トップクラスの劇団でしょう。『東京』はM.O.P.のマキノノゾミ作・演出で、マキノ氏お得意の近代青春群像劇。初演は東京公演のみだったけど、これがやたら評判よろしくての関西初上演。M.O.P.主要メンバー
勢ぞろいなキャストも安定感どっしり。『ART』はフランス生まれの男優3人の会話劇で、数カ国で翻訳上演された作品。ワールドワイドで笑いを取った脚本の質は保証付きな上、平田満・市村正親・益岡徹という豪華男優陣そろい踏みなら失敗はないでしょう。この3本、大きく外すことはないと思いますが、安定し過ぎてる分面白みにも欠けるので、大きく当たることもないような気がします。た
だし桃園会はこの劇団には珍しいラブ・コメ路線らしいので、これだけは思わぬモノを見せてくれるかも?

●個人的オススメなのが、芝居屋坂道ストアとクロムモリブデン。芝居屋は阪神大震災をテーマにし、大絶賛を浴びた傑作の再演。98年の初演は、その年の私の心の中のベスト5に入ってます(http://www2s.biglobe.ne.jp/~itofura/colum2.HTM)。日本劇作家新人賞佳作を受賞したものですが、私から見れば「なんで大賞とちゃうねん!」と憤ってしまうぐらい素ん晴らしい、涙チョチョ切れのお芝居です。心配点は初演とちょっとキャストが変わるため、それがプラスと出るかマイナスとなるかってことぐらいかな。元遊気舎の酒井宏人が正式加入してから絶好調なのは彼のおかげかはたまた偶然か、なクロムモリブデンですが、今回はその酒井宏人が作・演出を担当。もともとクロムの役者とのユニットなんかでその才能を小出しにしていた人だから、今回はそれがパパッと花開くことになるんでしょうか? 大外れか大当たりかの両極端な出来になりそうな、ある意味スリリングなステージです。

●というわけで今月の本命と大穴の解説でした。安全を取るか勝負に出るかはあなた次第!

5月

●あーなんだ、今月も見なきゃいけない芝居がぎょうさんありますなあ。しかし大物からアングラまで多様なラインアップがそろう中、私の「見たい度数」が一番高い演目は『ドナインシタイン博士の世紀末学会』なんでやねん(笑)。

●おなじみドナインシタイン博士こと川下大洋さんによる講座形式の舞台ですが、今回はパートナーである後藤ひろひと大王との共同構成。残り2ヶ月となった「1999年7の月」に向け、アルマゲドンをテーマにした短編を上演したり、人類(特に関西人)の滅亡パターンをシミュレートしてみたりなど「クソ真面目にふざけた」講座です。最後には観客(講座だから聴講生?)が生き残れるかどうかを試す審判のコーナーもあるっつーからドキドキね。遊気舎『FOLKER』であまりにも素晴らしい振付とオチャメなぐらい凶暴な演技を見せ、今私が一番ラブラブな福田転球さん(転球劇場)の暴れっぷりも要注意ざんす。

●続いて大人計画。『ぴあ』の穏やかに狂ったコラムも絶好調な松尾スズキの新作は、劇団員ほぼ全員が出演ときた。本来松尾さんって、前々回公演のような小人数コントより大人数が入り乱れる長編を得意とする作家だし、タイトルセンスもチラシの笑える度(これは公演の前にぜひ見て欲しい!)も尋常じゃあないので、初関西公演以上に期待度高し! なのです。今回は第1次産業を営むコミューンが舞台。なぜそんな所が舞台なのかというと、今松尾さんの中で「第1次産業」がブームだからだと。やっぱどこか狂っとる…。

●ロヲ=タール=ヴォガは維新派の中堅・若手男優によるユニットで、かつての「日本維新派」に近いドロドロした触感の野外劇を上演。近藤和見作/草壁カゲロヲ演出で、主宰の松本雄吉さんもちょこっとアドバイザーとして参加してるそうです。公演詳細やチケット取り扱いは直接劇団(070-5343-9478)まで。

●その他松田正隆&平田オリザのコンビによる『夏の砂の上』や、ダムタイプ久々のパフォーマンス公演がある演劇フェスティバル「芸術祭典・京」、燐光群の坂手洋二の書き下ろし作品を上演する新宿梁山泊テント公演、MONOの土田英生が作・演出を務めるAI・HALLプロデュース公演など、見逃せない芝居ばかりの5月の関西でした。

●しかし今月一番の必見演目は、上の新宿梁山泊のチラシデザインを手がけた天野天街さん率いる少年王者舘の名古屋単独公演だったりする(笑)。初期の名作『北斗』の再演ですが、石丸だい子など往年の劇団員が大挙出演するわ、今となってはドムドムなみに目撃するのが難しい「役者の天野天街」が見れるとあっては、そらもう関西である芝居の3本ぐらいはすっ飛ばしてでも見に行きますよ私ゃ
。ホームページ「少年電報」(http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3066/index2.html)に詳細がありますので、興味のある方はご覧下さい。

4月

●春です。私が愛する野外劇の季節がやってまいりましたということで、シーズントップバッターはやっぱ恒例の唐組大阪公演でしょ。前回なぜか東京で『秘密の花園改訂版』を観た時、舞台の後半大洪水のシーンでテントの外もやっぱり激しい雨が降っていて、現実と虚構がマジでごっちゃになるという演劇ならではの至福の瞬間を味わったものでした。今回は昔、小企業の社長さん3人がホテルの一室で同時に首吊り自殺した実話をを元に、日本の経済機構の矛盾を突いていく作品だそうです。今回唐十郎が舞台のどこから登場するのかも楽しみの一つでございます。わしの予想では、前回は綿菓子の屋台の中からだったから、ホテルの部屋の便器あたりから出没するのではないかと…。

●遊気舎は今回フォークダンスを題材にしたミュージカルに挑戦。のってーとしたフォークのダンスでミュージカルするって、んなもんありかいと思うが、遊気舎ならやるだろうなあ…。前回のじてキン公演でやや失望してしまった橋本さとしに成り代わり、今現在私の心の一番大きな位置を占めている俳優、福田転球の客演・振付(実は羽野アキと同じく大阪芸大ミュージカル専攻だったとか)もム
チャクチャ楽しみでござんすー。

●毎回「静かな演劇」+「SF」って感じの独特の芝居を見せてくれるジャブジャブサーキットも、とうとうウイングを飛び出してAI・HALL進出。AI・HALL初の四面舞台を使ったSFだそうです。登場人物の関係性や正体が、きめ細かな会話からどんどん明らかになっていく様はスリリングでたまりませんぞ。その代わり舞台観るのに尋常ならぬ集中力がいりますがね。体調整えて見に行きませう。

3月

●今月は、劇場が主催の注目プロデュース公演が2本もあります。まずは吹田のメイシアター。毎年この時期に近松門左衛門の作品を、小劇場演劇の人々の手で現代風にアレンジした舞台を上演するのですが、今回は今関西で最も絶好調な喜劇作家、MONOの土田英生が作・演出を担当します! 『冥途の飛脚』が、なぜか病院を舞台にした密室会話劇になるという発想からしてもうブっ飛んでしまってる。しかも出演がリリパットのわかぎえふに遊気舎の久保田浩やMONOオールキャストなどと、どなたも徹底的にコメディ系の人ばかりではないか。こりゃ絶対シリアスにはならんわ。笑いたい奴ぁ迷わず行け!

●もう1本はOMSプロデュース。昨年OMS戯曲賞を受賞した199Q太陽族の岩崎正裕の戯曲を、南河内万歳一座の内藤裕敬が演出という大注目の共演です。もともと私、岩崎さんの演出って良くも悪くもストレート過ぎると思ってて、彼の本を他人の演出で見てみたいな〜と密かに願っていたのでこりゃ嬉しい。それも岩崎さんとは逆タイプの演出家、肉体派の内藤さんだもんね。ここ最近のOMSプロデュースって「どうもなあ…」レベルが続いてたけど、今回は久々のホームランとなりそうな予感がいたします。

●ピスタチオの宇田さんも参加する世界一団、後藤ひろひとのノスタルジックなシュール・コメディ(どんなコメディやねん…)を再演する立身出世劇場、近頃私の周囲でもファンが増えつつある転球劇場の福田転球が構成を勤めた「村田さんの会」。この3作品はどちらも上岡龍太郎が主催する「上岡演劇祭」に参加。ブレイク寸前ってな劇団がそろう演劇祭で、しかも今年は各劇団自信作の再演が
中心ですので見応えはあるかと思います。

2月

●今月ってすごいバラエティに富んでるよなあ。てなわけで、各種類別においてオススメ芝居を分類してみようかなっと。

●おバカ好きには絶対スライムピープルでしょうね。Piperの後藤大王が今回タッグを組むのは、東京の劇団サモ・アリナンズの作・演出家の倉森なんとか(名前が思い出せん←ヒドイ)。何でもほぼアドリブだけで芝居を進行させる、トンデモねー劇団だそうだ。そんな人と組んだ大王がまともな芝居を作るなんて、道頓堀川に鮭が帰ってくるのと同じぐらいの確率であるわけないっしょ。

●アカデミック派にはSPACカンパニー。鬼才、鈴木忠志演出作品を、10何年か振りに関西で公演。「スズキ・メソッド」という演出技法をこの目で見るチャンスです。そういやこの「スズキ・メソッド」ってヴァイオリンの世界でもあるんだよね。昔ヴァイオリンの方の人が死んだ時、新聞の見出しにでっかく「スズキ・メソッドの…」って書いてあったもんだから「うわ、あの利賀村専門の演出家の人死んだ!」と誤解したことがあった。

●アーティスティック派には深津篤史プロデュースですね。外部プロデュースのために書き下ろした作品を、今度は深津自身が演出。どちらも歪みまくった情緒が素敵な、ハードな恋愛劇です。オーディションで選ばれた役者達の活躍にも注目。

●ミーハーさんは絶対『蒲田』です。映画化もされた名作を、ジャニーズの錦織一清と草ナギ(漢字が出ん!)剛が出演するっつーんだから、取りあえずこの二人が見たいという人は絶対満足でしょう。しかし演出がつかこうへい自身だからな。思いがけずもんのすご〜く素晴らしい舞台になるかも知れない。実はコアな演劇ファンも必見。

●で、そんな私が一体一番足を運びたいのは何なのかと聞かれたら、実は久々にピスタチオの面々を間近で見られる嬉しい公演『ショート・カッツ』なのでした。だってだって、あの名作『小林少年とピストル』やってくれるんだも〜ん。あと腹筋さんがトランペット吹くかもしれないも〜ん。残念ながらチケットは売り切れとのことですが、当日は必ず出るそうですよ。立ち見の根性あるならとても
オススメっす。

1月

●まったく何事なのでしょう。これぞ世紀末の前兆なのでしょうか。今月芝居多すぎ! 本当に見たいと思うものだけ上げたって、こんだけあらあな。しかも私ゃ今月、Zepp Osakaのマリリン・マンソンのライブまで見に行っちゃうんだってば。体が保たんて。

●でもま、こん中の最大注目と言えば私的には「いるかHoteL」です。NODA・MAPも竹中もG2も押しのけてこの芝居を一番に押すのは、やっぱ初演が本当にいい芝居だったから。それも自分の胸の奥だけにソッとしまっておきたくなる類のモンじゃなく、「見ろー! みんな見やがれー!!」と首根っこひっつかんで劇場に連れていきたくなるような舞台だったのでございます。ひっつかまれたくなかったら自主的に見に行くように。

●要注意なのはランニングシアターダッシュと寿団。「熱い」とか「友情」とか私が苦手なテーマを掲げてるのになぜか憎めないダッシュ。前回公演はちょいと失速気味でしたが、今回はあの「青春の向こう見ずさ」みたいな舞台の再現を期待いたします。旗揚げから一年も経たないうちに動員数700人を突破した(これすごいことっすよ。普通一年以内なら、せいぜい200人レベルだよ!)寿団にいたっては、その動員パワーの源を探ってみたいです…下手な評論家みたいなこと言ってるな私。この新鋭劇団2つの公演場所が、どちらもできたてホヤホヤのHEP HALLてのも、奇妙な縁を感じます。

●おっと、うべんの会もいいですよー。遊気舎のモヒカン女で有名なうべんさんですが、ここではたまらなく可愛い彼女が見られます。「女の子ってイイよな〜」ってしみじみ感じられる、上質のポップ・ワールドはぜひ御一見を!