12月

※注意!※
 関西では「誰もやらない事をやってしまうスゴイ奴」を褒め称える時に、「ア
ホ」とか「バカ」とかいう単語を逆説的に使用することが間々ございますます。
今回のオススメはそういうことを念頭に置いた上でお読み下さいますよう、くれ
ぐれもよろしくお願い申しあげます。こんな注意書きを書くのは実に無粋だと自
分でも思いますが、時々誤解して本気で怒る人とかがいたりするんでね。念のた
めね。そこんとこヨロシクね。


※本当のオススメはここから※

 いきなり断言いたします。今月の関西、アホばっかりです。

●筆頭はIMPACT DRIVE。元維新派の岡博史という人が一人で劇場作って、一人で
芝居して、一人で劇場解体するという究極の一人野外劇です。誰もやんない…と
いうか、やりたがらないほどしんどいことでしょう。しかも岡さん2年前にも同
じ事やって、その時散々苦労したと切々と語ってはったのに懲りない人です。し
かも夕方は過ごしやすい時分だった前回と違い、今回は寒風容赦なく吹きすさぶ
真冬の南港が舞台だし。もしかしたらホワイト・クリスマスかもしれないし…「
防寒の備えを完璧にして行きましょう」ぐらいしか、皆様へのアドバイスは考え
つきません。でも私はコートの3枚+カイロの5個ぐらいは携えて見に行っちゃ
うと思います。1人で(泣笑)。

●続いては劇団衛星。彼らの人気シリーズ『脳天気番長』の過去3作品+新作を
日替わりで上演する企画です。劇団きってのアホアホな内容で好評なこのシリー
ズが、かつてジャニーズの常設劇場だった「シアター1200」で見られるなんて、
ステキ! 聞いたらキャパ約1,200、梅田コマ劇場ぐらいの規模があるっつーじ
ゃないですか。そんなドでかい立派な劇場で野郎どものセーラー服姿を拝んだり
、男同士の熱いキスシーンを堪能できたり、登場人物たちの一斉ゲロが楽しめた
りするわけですか? 彼らも相当ですが、貸してしまった劇場も結構アレですわ
な。ところで先日彼らが本公演の宣伝を兼ねて出演した「TIP COLLECTION」を拝
見しました。何つーか……相変わらずで嬉しかったです。

● 女性だけのダンス集団CRUSTACEAですが、実は現在OMSでプロモーションビデ
オが流されています。バスローブやら盆踊りの衣裳やらブルマにポンポン姿やら
でキッチュな踊りを踊ってて一瞬どこの宴会芸だと思いますが(笑)、これがビデ
オ見てるだけでもなかなかおバカで楽しい。しかもダンス集団にも関わらず遊気
舎以上の客いじりを見せるっつーから、これはぜひ生のステージで体験して被害
(?)に遭っておきたいものです。ちなみにダンス集団がOMSアクト・トライア
ルに参加するのは、これが初だとのこと。

●次は石原正一ショー。今や年末恒例の関西小劇場顔見世公演という位置づけを
得ている名物企画ですが、内容はほとんど役者のコスプレショー。本公演のプロ
デューサーにして作・演出・出演の石原正一、役者たちの個人的な欲望を満たす
ためだけに1年間心血を注いでいるとしか思えません。舞台の芸術的価値や個人
のエゴから最も遠い位置に自分を置き、役者たち及び観客の楽しみのためだけに
奉仕する偉大なる大バカ野郎の勇姿を、しばし年末の大掃除の手を止めて見に行
っておきましょう。

●で、年末の大掃除が終わったら行くのは当然ハイレグジーザスのカウントダウ
ン! 全裸で客席に飛びこんだり食べ物を反芻したりなどの、キワキワなバカネ
タの数々で多くの伝説を作り上げているハイレグが、何と大阪登場2回目にして
シアター・ドラマシティに進出です。しかしあのおハイソな感じのドラマシティ
が、その過激さゆえに数々の劇場から出入り禁止を食らっているハイレグによく
使用許可出したなあ。どんなネタやってるか知らなかったのかも(って、上のシ
アター1200ももしかして同様?)。とにかく21世紀到来の瞬間を、ハイレグメン
バーの××××を眺めながら迎えるのかと考えると…一番のアホは実は自分では
ないかとしみじみ思えてきます。あ、ちなみにこの「アホ」は罵倒の意味で使っ
ています。どうでもいいことだろうけど。

●その他「アホ」で括れなかったオススメをまとめて。日系ブラジル人たちの郷
愁を慰めるために奔走した実在の日本人たちのドラマを描く飛ぶ教室、地球の滅
亡のシナリオをユーモラスなマイムで表現した名作を再演する上海太郎、近未来
SF風の異色の新作舞踏を見せる麿赤兒率いる大駱駝艦、かみ合わない詩的な言葉
の美しさを風景のように堪能したい山羊の階、「記憶」に関する断章を高速度で
叩きつける新作パフォーマンスを持ってくるダムタイプ。以上です。ではよいお
年&新世紀を!

11月

●先月は維新派やNODA・MAP(両方とも11月初旬まで公演継続中。先月のオススメ読んでちょ)や蜷川『グリークス』や劇団☆新感線などの大物がそろっていましたが、今月は21世紀をしょって立つ(かもしれない)期待の劇団がそろったという印象。「今見なければ死ぬ」というほどじゃないかもしれないけど、将来的に自慢の種を増やしたいなら今のうちに見とけ、ってな劇団ばかりです。言うたら先行投資月間って所ですかね。

●筆頭はやはり転球劇場。この演目で目出度くも東京本格進出を果たす上、主宰・福田転球が準主役を務めた映画『絵里に首ったけ』が公開される(関西での上映は未定)とあっては、来年あたりで大ブレイクする確率はかなり高い。今回は美容院を舞台に、彼らにしては珍しく泣かせる系のコメディにチャレンジするそうです。


●その転球劇場に続く軽演劇のホープ、スクエアも同じくOMSに登場。愛すべきおバカな人たちの日常を喜劇調で描くという点でやたら転球と似てますが、作家・演出家がキッチリ付いているだけあって、こちらの方が見せ方はかなり計算されてるというか演劇的だと思うんだけど、どうだろう。取りあえず怪優との誉れ高い上田一軒君(実はわしと同い年)の活躍が実に楽しみです。


●似てると言えばGO! GO! マグネグflowerモモンガと劇団アグリーダックリング。いや、作風は全然違うよ。ただ両方とも女の子が中心っていうのと、劇団名がやたら長いというのが………ね?(殴)GOマグは劇場を丸ごと飛行機の機内に見立て、あたかも乗客とスチュワーデスの如くに観客とコミュニケーションを取りながらストーリーを展開するという実験的な芝居。ポップなビジュアルが魅力な劇団だけに、映画『フィフス・エレメント』張りに可愛いスッチーの衣裳が期待できそう。制服フェチ必見(笑)。対するアグリーは鋭い痛みを伴う社会的な芝居を得意とする硬派な劇団ですが、OMS戯曲賞最終候補の常連でもあるので将来ひょっとしたら…な未完の大器。199Q太陽族亡き後の社会派演劇は君らにまかせた、という感じです。というかそれ以前に、太陽族本当になくなるのか?(ちなみに最終公演は11/5まで)

●さてメジャー系に目を移すと、やはり藤原竜也が出る近代能楽集『弱法師』は必見。演劇の舞台では数少ない、ぴっちぴちのティーンエイジャーの男の子を拝める貴重な作品だし(笑)。そして笑ってか恐怖でか感動してかのいずれかの理由で、ともかく観客の8割方を泣かしたという後藤大王の伝説の作品『人間風車』再演も気になる所。メジャー向きの改訂&大ホール空間での上演がプラスに出ることを切に祈ります。そしておバカ好きには見逃せない梅垣義明ソロライブ! ビバ大バカ梅ちゃん!! 恥を自覚しつつも芸人根性でやり通す超恥ずかしい芸の数々で、今回もアタシのハートを鷲掴みにしてね! 

10月

●どもです。入院とか闘病とかノイローゼとか引っ越し騒ぎとか身内の不幸とか身内じゃない不幸とか仕事の進退問題とかそれに伴う逃避逃亡逃走とか色々あって、えらく長いことお休み頂いてしまいました。ようやく復帰の目処が立ったので、唐突にまたオススメ書かせていただきます。ちなみに先に上げた休息の原因、何割かは冗談ですが残りの何割かは真実です。さて芸術の秋だけあって、何かの計略かと思うほど魅惑的な芝居があふれてる2000年10月。当初何も考えず見たい芝居をつらつら列挙していったら、この二倍以上の量になってしまったため、金と時間と体の具合を考えてあわてて半分削りました。なのでここに上げた全ての芝居は、私の厳しい(?)取捨選択をくぐり抜けた掛け値なしのオススメと言えるでしょう。

●中でも最大必見はやはり今年も維新派。NODA・MAP(わしが言うまでもなくこちらも必見)も維新派を見るために、この時期に大阪公演を入れたという噂が流れるほど、全国的に注目が集まっています。90年代はスーパーリアルな美術で見せる舞台が続いてましたが、今回は真っ黒な立方体を無数に並べた無機質な野外劇場で挑みます。ちょっと予想の付かない展開となりそうで、例年にも増して注目でしょう。予想が付かないと言えば唐組もです。いつもの紅テントではなく、なんと関西では初となる小劇場公演。シェイクスピアの『リチャード三世』の世界と新宿場末の鯨カツ屋を直結させる、唐流のロマンチシズムあふれる物語をあの空間でいかように構築するというのか? あとファンとして気になるのは、唐十郎は一体どうやって登場するか(笑)。できれば観覧車に乗って出て欲しいけど、無理か。しかし今月は寺山修司の遺作『レミング』再演もあるし、なんか時代
が70年代アングラ全盛期に逆行したような形になっております。

●でもって今月最大の話題作と言えば、実は小劇場出身の蜷川幸雄演出『グリークス』ですが、東京公演を見た人によると三部通しで10時間以上はかかるらしい。最近芝居見る体力が落ちてるので一気に観劇できるのか真剣に悩んでいる最中ですが、フルマラソン完走のごとき快感を味わえるのは確実なので、体に自身のある方はできれば一日かけて通しで見ましょう。また天王寺から上六、そして難波へとほぼ半日かけて芝居を上演して回る太陽族も、結構体力勝負のような気がします。でもって劇団創立20周年ということで、ただでさえ長丁場な芝居が更に長くなることが予想される劇団☆新感線とか、長くはないけどなぜか見る方も体力使ったような気にさせるだろう『Believe』とか……。何か芸術の秋っつーよりも「スポーツの秋」という気分にさせられるラインアップでございます。

●というわけで早く体力回復せねばな、な10月のよっしーでした。アディオース。