12月
先月は、生まれて初めてのぼけぼけをしでかす。公演会場を間違える大失態。
それも、会場入り口で気がつくのならまだしも(近鉄劇場と近鉄小劇場の上下
を間違えて、チケットもぎりの際に注意されてる人をよく見かけるが)、会場
に入って上演間近にようやく気づく有り様。

PM/飛ぶ教室の会場を、HEP HALLと思い込んでいて(今公演はOMS。前回
公演がHEP HALLだった)、その週末は最後まで予定決まらなかったため前売り
も買ってなく、なんとか行けるメドつき、開演ギリギリに梅田に着き「当日券
1枚っ」と叫んで、チケットも見ずにあわてて会場に駆け込む。ほっと着席し
て、チラシの束に目を通し、アンケート用紙を見つけたところで、がくぜん。
「あほちゃう、自分とこの劇団名を間違えてる!?」。えっ!? ひょっとして、
嘘っっっーつ。があーん。間違えたん、オレの方やん!!

もはや迫る上演時刻、今からOMSまで走っても間に合わず(偶然!?にも、同
時刻の上演時間)、何より払ったチケット代がもったいなく、泣く泣く初見の
劇団に付き合う。これって、某パティオがまだ存在している頃なら、ぼけぼけ
大賞もの。良かった...。

救いは、観る気まったくなしで挑んだその公演パロディ・フライ「潮町二番
館」が、けっこうおもしろかったことで、「水嶋さんのストライキ」と同じく
古い映画館が舞台という偶然が不思議。新劇っぽいかな、と危惧していたけ
ど、MOTHERっぽいダンス、アカペラありのわかりやすく楽しめるストー
リー、役者も達者な人多くて、安心して笑える舞台に、終演後は満足。

というわけで、先月の観劇予定は、結果的に嘘の部分があったことを、まずお
詫び。今月の予定も、実はクリスマスに入る4週目が心配。赤鬼、2TB、清
流劇場のどれも気になるが、ひとつしか観れないかも。赤鬼は、本公演まだ未
見、元ピスタチオの遠坂百合子の元気な姿を観たくて仕方ないけど、どうなる
か!? 2TBは、看板男優の小松利昌(現在は世界一団)、副島新五(今回の赤
鬼に出演)二人が抜け、青山麻紀(OMSプロデュース「ここからは遠い国」に
出演)が復帰しての再出発。もっとも、もう一人の看板女優・小澤真弓の独特
の声が私は好き。2本立で力入ってる清流劇場も観たいけど、重い芝居だろう
から連続はつらいかも。

今月の、大おすすめは「糾〜あざない」。前作1本しか観てないけど、ホン
しっかり、役者の魅力たっぷり、それに演出が深津篤史、かつ風太郎も客演と
なりゃ、観るっきゃないでしょ!!

燐光群、ジャブジャブ、太陽族は、間違いなく期待に応えてくれるはず。大地
真央が、構成・演出・振付が謝珠栄なので、意外といいかも。宝塚「激情」の
ホセとカルメンのダンス表現には堪能させてもらいましたもん。野田秀樹と組
んで、野田演出を吸収した強みありあり。お金ないので、3階席なのが個人的
に哀しい。

石原正一ショーは、絶対のおすすめだけど、私は仕事の都合で絶対に観れな
い、くすん。年末は、30日までバタバタだけど、なんとか「ア・ラ・カル
ト」だけは観たいもの。だって、これ見なきゃ年越せませんから。

今月は、他にSPEED、ドリカム、渡辺美里とクリスマスっぽくコンサート
の予定あり。宝塚レビュースペシャルで、クリスマスソングをメドレーしてく
れるのも、しみじみする。そろそろ、今年のベストテンあれこれを指折ってる
んだけど、ユーミン「シャングリラ」は演劇に入れてもいいなかなと自問した
り。だって、中島みゆきの「夜会」(ナマで観たことないが)に匹敵すると思う
もの。というわけで、いよいよいよいよ押し迫る今年。これ読んでくれてる
あ・な・た、一年間のお付き合い、ホントにありがと。

11月
ごめんなさい。今月は、前月中のアップという自分で決めた締め切りを落とし
ちまいました。それほど充実した10月末のラインナップ。犯友、三角フラス
コ、二十九日月、弘前劇場、遊劇体でした。おまけにごひいき維新派と新感線
が重なって、うれしい悲鳴な忙しさ。今月に入っても、青年団、スクエアと
ヒット続き。

でも、やっぱり私は羽野晶紀が好きなんだ、それも新感線での羽野が好きなん
だとあらためて思い知った「LOST SEVEN」でした。各劇団それぞれ
ごひいきの女優さんはいるけど、この思いは変わらない、たぶん演劇に初恋し
たのが羽野さんキッカケだったからでしょう。4年ぶり新感線出演の羽野ちゃ
んでしたが、オリンピック並みに4年後でいいから、また成長した姿を舞台で
見たいものです。蜷川とかtptにもぜひ出て欲しいですね。

残された今月の、お楽しみイチバンは八時半。鈴江さん世界が、静かだけど怖
いもの秘めてて好き。ちょっと冷え込んで来た長い夜、物思いの秋にふさわし
いんじゃないでしょうか。あと、未体験のびわ瑚ホールにようやく足踏み入れ
るのも楽しみ、これも初見のヒューマンステップスで。ダンスって以外に事前
知識ゼロだけど、なんか期待バンバン。今月充実のダンス系ではパパ・タラフ
マラと銀幕遊学レプリカントも行きたいけど、その週末はサモアリと重なって
いるので、どれ観るかはまだ未定。

10月
10月末の予定が、今だ立たず。とりあえず、OMSトライアルの一番バッ
ターUgly ducklingは見るつもりだが、弘前劇場、三角フラスコ、二十九日月
と犯罪友の会がその週に集中。実は、ピスタチオと維新派を入れちゃってるだ
けにつらい。京都、伊丹、弁天埠頭のどこ行くかは、その日のお天気次第って
とこ。3つの木綿も気になるが、平日のみで行けるかどうか。

今月は、いよいよ世界デビューする維新派に尽きる。小さな劇団のひと公演分
の経費かかっていそうな折り込みチラシの質と量にも、今回公演に賭ける気概
がうかがえる。大阪野外演劇祭の一環として行われるが、野外という場所にこ
そこだわるが、いつも同じテントを使う他の劇団と、維新派の発想はまったく
異なる。公演ごとに劇場自体を建設し、公演後は解体して釘一本残さない維新
派は、一切の形骸を跡に留めない。テントなり劇場などモノとしての存在はす
べてなくなり、残されるのは観たものの記憶なり、その噂聞いたものの伝説だ
け。すべて押し流す時の流れに対抗するかに、可能な限りの精神と肉体を使
い、ひとときの宴に労力を結晶する。終わってしまえば夢幻となる一期一会に
精力傾ける維新派の凄まじきエネルギーのどこかに、営々と築き壊す賽の河原
の石積みに似た無常感があり、そのはかなさが胸締め付ける。今公演も、恐ら
くはミレニアムの最後を飾るバベルの塔として、次の世紀にまで語り継がれる
だろう。

ミュージカルというワクで括れないRENT。これが処女作/遺作となった作
者の魂が、エイズに苦しむ世紀末に輝き放つ。ミュージシャン起用が成功し、
確かなボーカルこそが、作品に込められたメッセージ伝えうることを証明し
た。四季や東宝、宝塚ではなし得なかったろう音楽サイドからのアプローチ
で、日本のステージに風穴を穿つ。ミュージカル嫌いで初演未見の方も必見、
音楽ライブ好きなら絶対感動もの。

坂道ストア、3つの木綿、Ugly duckling、三角フラスコ、二十九日月と女性
作家の競作が見もの、この中から関西小劇場の明日をになう劇団出る予感ひし
ひし。個人的にしいてお勧めは、3つの木綿、コンセプト・トータルイメージ
そろって完成度高し。ナビ、少年王者館、JJCと名古屋圏の劇団が、大阪で
そろうのもおもしろい。作風それぞれながら、どこか同じ匂い感じられ、マイ
ペースがいい味。世界一団とTANT RYTHMは、ここががんばりどころで期待大。

忘れてならないのが、岸田戯曲賞作品再演に挑む桃園会。初演とは一部キャス
ト変更なるも、先日の前日譚上演でさらに背景作り込まれた劇の深化に、一瞬
も目が離せない。
         

9月
今月注目は、何といっても上舞とカオスのダンス。室町瞳や沖野楽子も顔そろうベストメンバーでの上舞、久々の関西公演はワンナイトオンリーのカオス。上海太郎のとろけさせる流し目、白河直子の鳥肌立つ肢体の震え。エロスあふれる肉体の饗宴は、極限をきわめる競演になる。

最初の週末は、MOP、 KUTO‐10(今回は事実上、199Q太陽族のプロデュース公演といえる)、PM/飛ぶ教室の関西実力派が激突。この中では、さまざまな試みを重ねて来たKUTO‐10の久しぶりの公演が目玉。岩松了の名作を、工藤俊作の呼びかけで集まった関西小劇場選抜メンバーを得て、岩崎正裕がどう演出するか。先日、岩崎の「ここからは遠い国」が、内藤裕敬の演出で再演されたが、そのOMSプロデュースを上回る完成度を予感させる。

次の週末が、船の階と嘘つき。どちらも未見の劇団なため、コメント不能だが、前評判は上々のよう。あと清流劇場も。第3週は、いよいよ桃園会が「うちやまつり」のシリーズ連続上演に挑む。「カラカラ」が、次々と作品を産み、その世界を広げたように、途方もない死とエロスの世界が、またもや増殖を始めている。

宝塚バウのシェイクスピアシリーズは、テンペストとヴェローナの二紳士。テンペストは、作曲・高橋城、振付・川崎悦子と、これがデビューになる作演出・斎藤吉正の若さに期待。湖月わたる、陵あきの二人とも歌えて踊れるしね。ヴェローナは、原作がヒドイ。これ読むと、今まで(あまり)舞台化されなかったわけがわかろうというもの。心理描写は破たんしてるわ、ストーリーはご都合主義だわ、贋作説もうなづける。が、それなら得意じゃないの(失礼)のタカラヅカが、どこまで喜劇にしてくれますか。でも、深刻っぽいのが正塚晴彦先生の持ち味だから、ちと心配。

遊〇機械/全自動シアターが気になるけど、平日夜の神戸公演のみで、行けない可能性大。猿之助、キャラメル(津田匠子の堂々たるエキセントリックが好き)、ダッシュ、大田王は、ひたすら楽しみます。あと、8月に引き続いて演劇シンポジウムが、今度は野外劇をテーマに行われる。酒入ってない松本雄吉は見たいかも。

8月
あの狭いカラビンカに、18人の出演者(チラシのクレジットによる)とはど
うなることかの「石原正一ショー」。真っ盛りの夏をさらに暑くさせてくれる
だろう会場の熱気が怖い(天井から容赦なく太陽が照りつけるし)。同様に、
キャスティングにひかれているのが「鉛乃文檎」。最近じゃ舞監の仕事多い塚
本修や谷本誠の役者ぶりに注目。でも、ホントは向田倫子ねらい、楚々とした
知性派。「ラストワルツ」も、クセのある役者の激突で、一瞬も目が離せな
い。ここは、広岡由里子のどこまで天然のうまさvs中川安奈のキレのある美女
ぶり対決。久々に演出手がける松田正隆が、旧作「蝶のやうな私の郷愁」を再
演。土田英生+花田明子という、これまたふだんは劇団を主宰・演出する二人
を、役者として起用するのも話題。「少年王者館」は、東京公演の後だから、
アンサンブル良くなってるよね、と期待大。でも、やっぱり大須で観るのがベ
ストだろうな(名古屋に行ったことないけど)。

「G2プロデュース」と「少年H」は、土田英生とマキノノゾミ、どちらも脚
本はしっかりしているだろうけど、作者の手を離れてどう料理されちまってる
か、がちょっぴり不安。宝塚バウホールでのシェイクスピアシリーズも、いよ
いよ5作目。キホンがおもしろいからハズレはないが、ウェストサイドや麻実
版ハムレット、NINAGAWAマクベスなど、シェイクスピアに対峙するだけの作品
作りにはまだ。けれど、ミュージカル仕立てで楽しめるのは○、ここ2作品は
前売りも完売、客席でも好評なのは慶賀の至り。

これも前売り完売のコンボイショウ。ビュッフェスタイルながら、料理・飲み
物付きのショウが13000円は格安。熊川哲也や玉三郎より低い設定なのに、コ
ンボイのサービス精神とニューオータニの料理を堪能できる。 年頭を飾る
トップお披露目公演なのに、記録的な不入りで泣いた愛華みれ率いる宝塚花
組。「夜明けの序曲」(個人的には、この浪花節は嫌いじゃないけど)の悪夢
を忘れるかに、今回は「エリザベート」の小池修一郎作品でテコ入れ。私とし
ては、作品うんぬんより、相手役の大鳥れいに娘役としてのこまやかさ欲し
い。どっちか言うと、愛華の方が女っぽくて可憐。

予定にないものでは、流星倶楽部に興味あり。想流私塾での作品が、観劇後の
印象良かった大正まろん作。看板女優?小栗一紅ののびやかさも心地良い。三
都市回る赤鬼番外の「努力しないで出世する方法」は元気いっぱい。パワフル
なホンにパワフルな役者があいまって、残暑の疲れも吹っ飛びそう。満遊戯賊
のお楽しみ公演も、きっとサービスたっぷり。

最後に、OMSで9日(月)行われる劇評をめぐってのシンポジウム。なんで
も、演劇評論と作り手側との公開討論会らしい。ちょっと怖い、でもおもしろ
そうだから、行ってみる?


7月
維新派「麦藁少年」熊野本宮と衛星「血の創世記」吉田神社は、今のところ予
定が立たず。どっちも、野外公演の常識を突き破るような気がして必見なのは
承知しているけど。神社境内(維新派は、元だけど)という神/人間、古代/現
代の時空が交流する接点で捧げられる芸能こそ、本来人間が持つパワーを引き
出す。古代ギリシャでも、円形の舞台は神々と人間が見つめる聖なる交歓の場
だったのだから。

上の観劇予定に入ってない、今月もうひとつお楽しみは、実はユーミン「シャ
ングリラ」。惜しげもなく投入される金と才能のスペクタクル。これだけやっ
ちまう日本は、本当は不況なんかじゃないさと、それだけで元気出てくるイベ
ント。

想流私塾は、戯曲の発表のオムニバスなので、出来不出来はあろうけれど、他
人の作品を総合演出する深津篤史の手腕が見もの。北村想作品を演出した「屋
上のひと」のエロスは、ネラいぴったり過ぎだったので、まったく異なる作風
のものをどう処理するかに注目。桃園会と太陽族を中心とする役者さんの組み
合わせも楽しみ。

4週目の週末に、MONO、えん魔、転球が激突。この中でイチ押しは、脚本
依頼が殺到している土田英生。これがアート館初進出、前作「その鉄塔に男た
ちはいるという」は男優だけ、その後プロデュースでの「近松ゴシップ」も笑
えたものの、傑作「きゅうりの花」以来のMONOフルメンバーによる本公演
はまさに待望。

「破壊ランナー」と「ぼくの先生」は、それぞれの劇団で大好きな作品。どち
らも再演されており、今回さらに再演を重ねる。個人的に思い入れがあるだけ
に少し不安、けど代表作だから間違いないでしょう。ベンガル、綾田俊樹のア
ドリブ楽しい乾電池は今までハズレなし。今回のマドンナ・藤山直美ともやっ
てくれるでしょう。

6月
今月は、小劇場系伸び盛りの3劇団の競演が楽しみ。南船北馬一団プロデュー
スと言える3つの木綿、新作予定を戯曲賞受賞作品に差し替えて力の入る芝居
屋坂道ストア、ゆるゆるのタイトルがらしいスクエア。とりわけ、南船北馬の
柴田隆弘が美術、どうみても上田一軒以上のおっさんにしか見えない宮川サキ
がゲストのスクエアが強力な布陣。アイホールの広い空間を、とんでもなく
シュール、ヘロヘロの気分に染め上げてくれる。

ベテラン勢では、利賀でのお披露目からブラッシュアップされ、ますますち密
な戯曲世界を見せてくれるだろう桃園会と、役者としても元気いっぱい、華あ
る明るさに秘めた狂気が炸裂するか酒井宏人の作・演出によるクロムが、どち
らも関西小劇場のメッカOMSで。

SET、新感線、東京原子核については、もう安心して観るだけ。どなたにも
おすすめのエンタテイメント3作になるはず。tptも期待作なのだが、ベニサ
ンピットの小空間を中劇場に持ってきて成立するか、に若干の不安あり。リア
王、ARTと並んで、豪華な役者陣を堪能できる真面目な3本となる。

かつてじてキンが「躍進するお嬢さん芸」と謳ったけど、宝塚こそホントのお
嬢様芸。これだけ質量とも粒ぞろいの人材なのに、劇団の企画センスが古く損
しているのが可哀相。雪組バウ公演に、成瀬こうき、朝海ひかる、安蘭けいの
研9トリオ(爆)をそろえ「ワンダースリー」とタイトルするには笑う。プロ
デューサーが、きっと往年の手塚ファンなんでしょう。エリザベートでチケッ
ト争奪を巻き起こした宙組が、今回は「黒い瞳」も好評な謝珠栄・演出。タッ
パがありダンス力のある宙組なので、映えること間違いなし。トップ娘役とし
てノッてる花總まり、見栄えする姿月、和央とも気合十分。宝塚版ロミジュリ
は、とってもスーツの似合う水夏希と研3から抜擢の彩乃かなみ。原作がいい
のだから、いじくり過ぎなければおもしろいはず。ここはバウ3作目になる演
出・植田景子がステップアップするか試されるところ。

北村想作品がふたつ。ナビの新作は、物理のウンチク傾けそうなタイトルなが
ら童話とか。得意の科学メルヘンのほのぽのシリアスが好き。あの名作を猫尻
OGで観られる「クリスマス」にはびっくり。可愛さと怖さに戦慄する季節は
ずれのプレゼントは、一部ファンで話題必死。


5月
ダンス・パフォーマンス系に注目すべき公演が集中する5月。ダムタイプ「O
R」は、パフォーマーも参加しての公演としては、待望の関西初。音と映像の
みで思いっきり想像の羽根を広げさせてくれたダムタイプが、動きを取り入れ
て新たな視覚に訴える。初演は既にビデオ化されているが、明滅するストロボ
の中、ストレッチャーを自在に身体と交信させ、観る者の脳裏へ直接イメージ
を送り込む。ライブではインスパイアされ、さらなるコミュニケーションが構
築される期待大。

維新派の男性5人による別ユニット、ロヲ・タール・ヴォガは、生駒山麓の神
社境内で得意の野外公演を行う。連日師匠・松本雄吉の薫陶を受けているだろ
う近藤和見クンの脚本は、どこまで広がりを見せてくれるのだろう。小山加油
チャン出演しなくとも、これは必見。瓢箪山は古墳跡が瓢箪に似ていることか
らつけられた地名。このあたりはかつての河内湖に面する古墳群の集積地であ
り、江戸時代に稲荷社として栄えたという。維新派つわものたちの肉体が、古
代から現代そして未来を交感するかもしれない。

レプリカントは、短期間に行う再演シリーズの一作。先回の「SUNAの万華鏡」
は会場も出演者も初演と違うために、ほとんど新作同然。若手の成長ぶりとア
スファルト・オペラと銘打った表現形式の確立が頼もしい。展開されるミニマ
ル・ミュージックの旋律の美しさとデジタルビートの力強さ、律動的なパ
フォーマーの動きにめくるめく酔わされるが、ラストは決まって明転するや誰
もいないステージ。はかない夢のごときその一瞬が、癖になる。

宝塚の2本も、ダンスに定評あるメンバーの出演が楽しみ。怪我から完全復帰
する月組の紫吹淳が、雪組から引き続いての「ノバ・ボサ・ノバ」を競演。
ファン期待の作家・萩田浩一による「螺旋のオルフェ」でいよいよ大劇場での
トップコンビお披露目となる真琴つばさ・壇れいにも期待が高まる。宙組はダ
ンディな和央ようかと芸達者な樹里咲穂。作・演出は、独特の叙情で正塚節と
謳われる正塚晴彦。昨年のドラマシティ公演、紫吹主演の「ブエノスアイレス
の風」が好評で、予定外に本年の再演が決まる経過もあり、力のこもった作品
となろう。

小劇場では、何と言っても「夏の砂の上」。昨年行われた東京公演の好評を受
け、芸術祭典・京での堂々の「凱旋」となる。松田・平田コンビのち密な作品
作りを体現する役者たちは、さらに研ぎ澄まされた精神世界の深淵を見せてく
れるだろう。

その松田と鈴江俊郎が京都演劇を代表するとすれば、大阪をリードするのが深
津篤史と岩崎正裕。関西演劇界「四天王」のひとり岩崎の199Q太陽族「レ・ボ
リューション」も気になるが、予定がつかず。公演日程目白押しの週末に、う
れしい悲鳴。ふつう再演は初演を越えずが通例なれど、太陽族の強みは再演で
ますますパワフルになる点。岩崎脚本のしっかりした構造と劇団員の自信が相
乗効果を上げる。観たいのは山々なれど、打打も最終公演なのではずせない
し。主宰の宇梶剛士がTV、映画で売れっ子のようで発展的解散なれば、淋し
くもうれしい限り。

都合つけば、かわら長介とがっしゃん(東野博昭)率いるHOBO'Sも行きたいけど
難しいかも。「半神」と大人計画は期待を裏切ることは、まあないでしょう、
楽しみ。

4月
PM/飛ぶ教室 花見の駅で、二月に

待望のOMS戯曲賞大賞を受賞した蟷螂襲の新作。個人的には受賞作の「滝の
茶屋のおじちゃん」より「活弁士塙韋駄天の吉日」などの方が好きだが、震災
をテーマにした部分が審査員のポイント高いのは、いかにも浪花節。以前、蟷
螂が佳作賞を受賞した時の大賞作品が「夏休み」というこれも震災テーマだっ
たので、その時の仇討ち?ともいえる。が、作品が一定以上の水準を満たすよ
うになったのは事実だし、役者がこなれてきたのも楽しみ。今回は、受賞でさ
らに力がこもる独特の台詞回しが堪能できそう。

ジャブジャブサーキット バクスター氏の実験

はせひろいちの描く世界は、どこか手塚治虫の懐かしいマンガに通じるものが
ある。お茶の水博士やヒョウタンツギが登場するレトロな近未来が、こつ然と
現代の舞台に登場したようなファンタジックな気分にさせられる。両者のベー
スをなすのは、物語作家としての資質と人が好きというヒューマニズムだろ
う。たとえ怖い話でも安心して観ていられるのは、幅広い知識と視点に立つバ
ランス感覚が絶妙だからに他ならない。

銀幕遊学レプリカント SUNAの万華鏡

惑星ピスタチオの再演「ナイフ」で使用された曲のオリジナルが、レプリカン
トを主宰する佐藤香聲の手になるもの。そのミニマルミュージックのダンス的
体現がレプリカントだが、視覚化された美しさと力強さは言葉にならないほ
ど。この万華鏡の世界を知らない方は、人生の楽しみを損していると申し上げ
たい。(注:会場が狭いので、前売チケットが無難)

キャラメルボックス 銀河旋律/広くてすてきな宇宙じゃないか

どうしても、成井は初期作品の方が好き。この甘酸っぱいSF2作品連続上演
にも、泣かされたもの。劇団の中でもっとも安定した演技を誇る西川、大森が
シンを取るのも見逃せない。バージョンアップしているだろう装置・美術にも
注目。

唐組 眠り草

唐の脚本は難解で、読むのをすぐあきらめたもの。が、舞台のハチャメチャな
おもしろさには常に興奮させられる。わい雑なテントの匂い、土埃の立つ板張
りの舞台、ガチャンとオープンテープのスイッチ音まで入る音楽や音効。アセ
チレンランプのごとき照明までが、たまらなく一体感を醸し出す。待ってまし
たとばかりの唐の登場からあと、お決まりの屋台崩しまで一気加勢だ。

四季 ライオンキング

実は、待ちかねて東京の四季劇場まで出かけて観劇済み。結果は、前評判以上
のすごさ、素晴らしさ。アフリカや東南アジアのエスニック、日本の文楽など
伝統を取り入れて、ブロードウェイの舞台に溶け合わせた斬新さに目を見張
る。洋の東西や過去現代の文化がミックスされているのみならず、前衛と商業
ミュージカルが同時に成立することの証しでもある。

文学座アトリエの会 王様は白く思想する

内容についての情報はまったく知らないが、ここしばらくの鈴江俊郎の健筆か
らして期待大。しっかりした演技で、鈴江世界がくっきりと浮かびあがること
だろう。

そとばこまち マンガの夜

若かりし頃の手塚治虫や藤子不二雄、石森章太郎らを描いた「トキワ荘の青
春」という映画があったが、その時鈴木伸一役だったのが生瀬(ちなみに、こ
の映画には、古田新太や北村想、阿部サダヲも出演)。ラーメン好きの小池さ
んのモデルとなったアニメーターだが、生瀬の演技には妙にリアリティがあっ
た。その経験から今回のアイデアが生まれたと邪推しているのだが、とりあえ
ず生瀬と渡辺いっけいの対決は、見ずにはおれない。達者な他のそとば役者陣
も、久しぶりの本公演で燃えていることだろうし。

3月
世界一団
アイディアおもしろけれど話のツメ甘く、役者生きがいいのに台詞かみまくり
でガックリの結末たびたびの世界一団。ピスタチオの客演で、いつもながらの
ハリキリ娘ぶりを披露した年清由香・希ノボリコが、本公演でますます元気な
ことを期待。今度こそ、やってくれるよな。

仮名手本忠臣蔵
二十一世紀歌舞伎組での通しは、現代的な解釈でテンポも早く、若手のすがす
がしさが引き立つ公演だったが、昼夜通し1日掛かりの今公演は、ていねいに
ワキスジを描いて立体感が増すはず。仁左衛門以外の出演者が段目ごとに役替
わりするのも比較検討できるお楽しみ。

近松ゴシップ
「きゅうりの花」が岸田戯曲賞最終選考に残り、改めて関西演劇界の層の厚さ
をアピールした土田。MONOプラスアルファのにぎやかなキャストが、どん
な奇妙な間を作り出すのか、一瞬も油断ならない舞台。

宝塚バウホール・シェイクスピアシリーズ
宝塚創立85周年記念の今年、バウホールでは年間通してシェイクスピア作品
に挑む。思い切った若手の演出家の起用と各組期待の主演のフレッシュな組み
合わせ。スーパーバイザーが、あの小田島雄志というのもおもしろい。どこま
で冒険できるか、もとより失敗も覚悟の上だろうが、そこから学ぶものが花開
く日を長い目で待つ。

ここからは遠い国
キャスティングにあたったOMSの江本雅朗が「内藤演出でこれほど早く脚本
がが出来ていたことはかつてない。それだけに驚くほどち密な演出が今稽古場
でなされています」との説明に思わず笑う。昨年の内藤+いのうえ「夏休み」
のごとく、岩崎+内藤も必ずしも相性がいいとは言えないが、主催がそこまで
言うなら期待しようじゃないの。余談だが、その「夏休み」での木村真紀と旗
島伸子の出会いが、猫尻復活の原動力のひとつにもなったとのことで、作品自
体の出来不出来はともかく、企画そのものの影響が、これからも関西演劇界を
引っ張ることは間違いない。

猫のお尻
その猫尻、待望なるかな堂々の復活。押しも押されもせぬ今月最大の話題作。
はらはらと散る桜の花びらのごとく淡くせつない時の移ろい、だからこその一
瞬の華やぎ。めくるめく青春のとまどいを見せる永遠の少女たち。猫尻は、あ
まりにももろくて触れることもかなわぬ乙女のときめきを、舞台上でひととき
の夢のように紡いで見せる。

満遊戯賊
エンタテイメント系の若手ではイチオシ。フンイキがかつての新感線そっく
り。徹底した観客サービス、スピーディな展開、これでもかのギャグ、男女と
もおしゃれな役者たち。コンピュータを駆使した演出は、より垢抜けてモダ
ン、荒唐無稽な話をバーチャルに演じる生身の躍動感がいい。

検察側の証人
かつて安寿ミラも主演したクリスティの代表作。93年にCカンパニーとして
飯島+鈴木コンビで行われた公演では、西牟田恵の好演が記憶に新しい。戦前
の日本に置き換えた設定は、翻訳物の違和感もなく会話のリアルさに劇中に引
き込まれた。飯島+鈴木の息ぴったり手慣れたコンビは、会話にビビッドな血
をかよわすことで右に出るものがない。今回、新キャストを起用して、さらに
練られた脚本・演出で演劇の王道を行く。

THE NEWSPAPER
生の爆笑問題を観たことはないのだが、時事ネタを笑いに転化する才では
ニュースペーパーも、今人気の彼らに劣らない。変装やマイム、運動能力も備
えた集団の魅力が、辛口批評に花をそえる。ふだん演劇にあまり縁のなさそう
な小学生や老人の姿を会場に見かけることも多いが、全員大笑いかつ満足そう
な様子なのが、ほほえましい。ただひとつ心配なのが、今回主催がサンケイ新
聞なので「さる高貴なご一家」ネタが自主規制されないかと。

あと今月の注目は(まだ観劇予定がつかないけど)ニュートラル「カーニヴァル
の夜」と赤鬼「スパイ マイ フレンド」。静謐なニュートラルと熱い赤鬼。ど
ちらも独自の世界を切り開いて、いよいよブレイクかも。


2月
くじら企画

さえないおじさんたちが、かすめばかむほどいい味出すくじら企画。今回は、
女優参加!とのことで、花添えることになるのかどうか。ほのぼのしんみり、
の庶民の哀感が伝わること必定。

惑星ピスタチオ

ちょっと見直した、前回の「ナイフ」。大幅に劇団員が抜けて、ぐっとしまっ
た(西田シャトナーの体型だけではない!!)ピスタチオは、初心に戻ったかに捨
て身の美しさを見せた。過剰を削ぎ落とし、ダイエットしたピスタチオが、原
点に帰り、名作「小林少年」を新たに蘇らせてくれる。

深津篤史プロデュース

今月最大の目玉。桃園会+オーディション選抜メンバーによる2作品同時上演
は、事実上2チームの競演となって役者間のライバル意識に火をつけているに
違いない。前回は脚本の提供だけだった深津の演出は、自らの手による再演で
さらなる作品の掘り下げを図る。とてもていねいな演出、妥協を許さない深津
だけに、より豊穣な世界が見えてくることだろう。

宝塚星組 WEST SIDE STORY

明らかにクサい作品も多いタカラヅカだけど、ウェストサイドはおすすめ。思
春期の少年のあやうさを性的ボーダーレスの宝塚だからこそ表現し得たと、前
回の月組公演で目からウロコ。ダンスの素養には申し分ない生徒たちが、アラ
ン・ジョンソンの演出・振付に応える姿が、初々しい。

1月
YOURS・2

ユアーズの好評を継いでのユアーズ2は、さらに強力なキャスト陣。主演・安寿
ミラ以外にも堀内充、宮内良、福島桂子が前回に引き続き共演。さらに今回加
わった駒田はじめ、吉野圭吾、吉岡小鼓音などいずれも歌って踊れる豪華なメン
バー。「エリザベート」で才気を見せつけた宝塚気鋭の演出家・小池修一郎の構
成、その小池と息の合ったコンビを見せる振付の前田清美の演出と、どこにもス
キのない布陣。年頭を飾るお洒落で粋な大人の時間が楽しめそう。

初春大歌舞伎

贋治郎の出演も楽しみだが、もうこれは玉三郎の魅力に尽きる。夜の部の「娘道
成寺」、昼の部の「吉田屋」と惜しみなく十八番の芸を見せてくれるはず。場内
をねめつける玉三郎の目線に、観ている方がたじろくほどの熱さを感じたことは
一度や二度ではない。迫真の演技に、まさに魂が吸い取られる。

八時半 大きな青の音

わが道を行く鈴江俊郎。誰をも恐れぬ批評精神と繊細でやわらかな感受性が同居
する不思議な作家。役者としてのとぼけた味わいも、また捨て難い魅力。アトリ
エ劇研演劇祭の冒頭を飾るにふさわしい作品となろう。それにしても、当日券
1500円は安く、交通費の高さをおぎなって余りある。

あと、月末に興味深い作品がいくつか並ぶ。うべんの会、DUCK SOAP、南船北馬
一団が、ほぼ同一日程。苦しくも楽しい選択を迫らているが、どれを観るかの予
定はいまだたたず。