12月
桃園会「うちやまつり」

おすすめったら、ナニをおいてもコレ。そろそろ今年のベストテンを考えてい
るこの頃、事によると今年最大の収穫が桃園会の「カラカラ」だったのではな
いかと思い始めている。それほど、すごい前作。さらに龍の会プロデュース作
品「逃亡」で見せた演出・深津篤史のほとばしる才気と劇団の看板役者・江口
恵美の捨て身の演技は、呼吸すら苦しい緊迫した舞台を作り上げていた。
ノリにノッてる劇団の待ちに待った新作。江口以外にも、魅力的な役者陣をそ
ろえ、今から期待に胸高まる。今度は、どんな難解な世界で観客を翻弄してく
れるのか。

「ア・ラ・カルト」

もう、コレを観なくちゃ、年が越せないというほどハマってます。人生をビ
ターに重く捉える遊〇機械/全自動シアターのもうひとつの顔。おなじみ高泉
淳子と白井晃と蔭山泰の七変化でしゃれたコントオムニバスを綴るある夜のレ
ストラン。おいしい食事とワインを楽しみ、音楽に耳を傾けるひととき。ジョ
イ・オブ・ライフ。人生にコントとウィットがありゃこそ、また明日も生きて
いけるさ。その明るく楽しく馬鹿馬鹿しく、ちょっぴりもの哀しい一夜。生の
音楽と幕間のワインサービスに思いっきり酔ってください。

アクターズスリル&チャンス「遊園地」

最近TVでもやたら売れ出した村田雄浩をメインにしたおしゃれでスピーディ
なカンパニー。演出の村尾幸三のセンスは、演劇というよりロックコンサート
のノリ。アクションと笑いがいっぱい、早いテンポの展開は、大人になりきれ
ない都会人のためのメルヘン。主役の村田以外のキャストが、みな美男美女と
いうのもおもしろい。

ニュートラル「楽園への道」

ニュートラルは劇団ではなくて、主宰の大沢秋生が、その時その時役者を集め
てエチュードから作り上げる芝居を提示する。今回1年以上の活動停止を経て
の久々の公演。いつもシンプルな舞台、さりげないシチュエーション、登場人
物の何気ない会話から創出される静謐な世界を私たちに見せてくれる。疲れた
現代人に即効で効くタウリン2000の派手さはないが、無農薬有機野菜のよ
うなじんわり心にしみる本物の滋養がここにはある。

11月
PM/飛ぶ教室「滝の茶屋のおじちゃん」
11/6−9 ウイングフィールド

動員を誇る芝居では、けっしてないが、地に足の着いた庶民の暮らしに根差
し、そこで起こる人情を浮き彫りにする飛ぶ教室。小空間の空気を大切にし、
ていねいに描かれた人間関係は、いつも胸をつく。新人だった役者も最近は手
だれの主宰・蟷螂襲にひけを取らないコンビネーションぶり。生田朗子、桂九
雀、木嶋茂雄の実力派ゲストにも期待。

劇団四季「夢から醒めた夢」11/11−12/14 MBS劇場

あえて、大阪からオリジナルミュージカル3本立て連続公演を仕掛ける四季。
四季といえども、オリジナルミュージカルの動員は、正直高いとは言えない
が、11/3まで公演中の「ユタと不思議な仲間たち」は、和製ミュージカル
がここまで来たかと思わせる内容。
喧嘩を音楽にのせてダンスする加藤敬二の振り付けは、あのウェストサイドを
抜いたかと思わせるし、フライングしながらの果てしない前回りは、日頃きた
えた体力と素養があればこそ。レーザーを使った演出効果も素晴らしい。難点
は、詩とメロディ、つまり音楽。
「夢から醒めた夢」も、その一点さえ除けば、心から楽しめる作品。ストレー
ト過ぎるメッセージが、逆に新鮮。

クロムモリブデン「ラボちゃん」11/13−16 OMS

劇団?本公演としては、1年以上の間を空けた久々のライブ。映像、音響、パ
フォーマンスが織り成すクロムワールドに、また出会えるかと思うと今から、
ワクワクする。血とアドレナリンを、極点まで沸騰させる世紀末エンゲキが、
待っている!

ザ・コンボイ・ショウ「タイムトンネル」11/15・16 シアタードラマシティ

東京では、27ステージが即日完売の人気だそうで、何をいまさらのおすすめ
だが、大阪は2回目なので、あえて。かつては、ミュージカルのアンサンブル
として、ハッキリ言って実力はありながら、日のあたることが少なかった彼
ら。チームを組んで、今やりたいことをやってる楽しさと自信が、否応なく観
た者誰をも感動の渦に巻き込む。半年以上かけた入念な準備、メンバー各自の
熱い思いが、びんびんと伝わる好舞台。
プロフェッショナルなダンスと、エンターテイメントのもてなしと、男たちの
純な気持ちに、きっと打たれるはず。

青年座「MOTHER」11/23京都府立文化会館 11/24 ピッコロシ
アター

M.O.P.のマキノノゾミの脚本を、盟友・青年座の宮田慶子が演出。2年前に
本多劇場で観て感激したのを、昨日のことのように思い出した。与謝野鉄幹の
晶子への愛が痛々しいほどで、涙をこらえることができない。奔放に生きる晶
子の純な様もよく表現できており、「KANOKO」ファンなら、絶対見逃す
ことが出来ない作品。
余談だが、チケットはあまり売れていないかも。発売日に買い損ねて、10/
10にぴあで購入したところ、2列目中央。

10月
劇団五期会「パパのデモクラシー」

未見の劇団、脚本も読まずにおすすめする無謀をお許しあれ。作者は、あの二
兎社の永井愛。大石静との2人だけで演じられた「カズオ」をテレビで観て、
その早変わりの素早さ、それを可能にする脚本のち密な構成に目を見張った。
本作品も名作の評判高く、今回の舞台化は見逃せない。ハズレの新作オリジナ
ルが多すぎるから、シェイクスピア人気が衰えない。別役実再評価も、近松も
のの公演でかせぐプロダクションが横行するのも、それが理由。ここはひとつ
日本の定番となる脚本を確立したいもの。

これは、大阪新劇フェスティバル公演参加作品。最近まで食わず嫌いで遠ざけ
ていた新劇だが、基本から訓練された役者は台詞ひとつでも通りが違う。確か
なのは、うまい役者はどこでも通用するという事実。古いファッションがまた
新鮮に思えるように、オーソドックスな演技に新しいものが見つかるかもしれ
ない。

なんて言ってるが、お目当ては生田朗子さん。実は「湾岸線浜浦駅高架下」で
見たナイスバディが、目に焼き付いて離れないだけなんです。

「シェルブールの雨傘」

戦争で離れ離れになった男女が、再会。もうお互い別の人と結婚し、幸せな暮
らし。そばには、小さな子供まで。その名前を呼ぶときに、はっと気づく。そ
れは、かつての恋人の名。
通俗のきわみだけど、これが泣ける。ミッシェルルグランの音楽が、涙腺をと
めどなく刺激する。これは音楽が命のミュージカル。これでもかの泣きのメロ
旋が、人間のええかげんさを洗い流す。恋愛も、しょせんは運命のいたずら。

「古館伊知郎トーキングブルース−ぶざま」

もうすでに東京公演は終了。売れっ子の司会業の間をぬって続けられるライブ
も、これが10回目とか。その強靭な意志にまず感動する。お茶の間に映し出
される笑顔の隅にときおり覗く硬骨漢の顔。生で見る古館は、それが前面に開
放され、たったひとりで会場を圧倒する迫力となろう。
これが、初の大阪公演。初めての土地で彼のテンションも最高に上がるはず。
大阪でベールを脱ぐ古館のエネルギーを身体ごと受け止めたい。