12月

すんません、11月分落としました。体調は良かったんですけど、その分あちこ
ち飛び回っててパソコンの前に座ってるヒマなかったんです。被災者はまだま
だ大変な新潟中越地震ですけど、あれからずいぶん経ってるんですね、発生の
時ちょうど新幹線に乗ってました、といっても山陽新幹線ですけど。揺れも減
速もせず車内ニュースでテロップが流れただけ。悲しいかな、温度差ってある
もんです。その日は倉敷で「風と共に去りぬ」を観たんですが、別の日に金毘
羅宮にも行ってて若冲の襖絵を観たりもしました。こんぴら歌舞伎の金丸座へ
寄り道、楽屋や奈落、すっぽんの下も見学できて楽しかった、おススメ。

12月は問題作が目白押し。オーソドックスなところから、土田の帰国第1作を
発表するMONO、OMS戯曲賞大勝受賞後初となるごまのはえ(公開選評会で某
審査員からペンネームを変えないでとの要請あり)のNCT、どちらも業界の関心
高し。OMS戯曲賞候補常連の山岡徳貴子作・演出の魚灯、役者・小栗一紅も
魅力な作・大正まろん、女性ならではの2人が作る世界も楽しみ。

ヘップホールと芸術創造館で大型企画対決。関西小劇場総結集となるヘップの
テクイジ版ハムレット、恒例クラシック・ルネサンスにプロデュースで乗り込
む寺田。年末のお楽しみ、石原正一ショーと豪華ラインナップ。石原はこれだ
け大人数ならかつての常打ちカラビンカじゃ出演者だけで手狭、観客が入らな
い道理。それにしても制作費はどうなってるんでしょ? 忘れちゃならないの
がWI'RE。劇場全館を使ったインスタレーション、かつて遊気舎がKAVCを
使ったお遊び企画のアート版。観客は風邪ひかないよう体調を整えて館内を駆
け巡ろう。

10月

アリス零番館-IST、インディペンデントシアター2ndと立て続けに2つの
劇場がオープン。奇しくも堺筋でつながり、距離は地下鉄の駅2つ分もな
いほど。その中間にある老舗のウイングフィールドやインディペンデント
シアター2ndの母体にあたるジャングル・インディペンデントシアターを
含めれば計4つの劇場が南北に並ぶ。周辺を見渡せば應典院、一心寺シア
ター倶楽、Art Theater dB、ロクソドンタと水ももらさぬネットワークが
布陣される。精華小劇場のオープンも目前、相次いだ劇場の閉鎖に危機感
を抱いたのはまさに昨日のこと。プロ野球の改編と同じく、新たな変革の
時期に来たことを痛感する。

北のアリス零番館-ISTから南のロクソドンタを長い縦軸、東の應典院から
西の精華小劇場を短い横軸に結んだ十字を中心線とするミナミ〜あべのが
一大演劇エリアに生まれ変わる。むろんハコの誕生だけでは単純に喜べな
いが、両劇場ともこけら落としのラインナップに劇場プロデュースの意欲
が感じられ、今後の展開にいやでも期待が高まる。

まずアリス、ひとり芝居とソロパフォーマンスの渋い組合せ。芝居とダン
スのコラボはアトリエ劇研でも試みられたが、レブリカントの本拠地での
開催が新たな創造シーンを生む。そのレプリカントはネットワークのたま
もの、海外の劇団とのジョイントでこけら落としをみずから飾る。

インディペンデントシアター2ndは、東京からポツドールを招聘。スキャ
ンダラスな噂が先行する中、どんなライブが展開されるかもはや目撃する
しかない。続くプログラムも別冊トランスパンダ、アンテナ劇場。と関西
の注目どころ、今年の秋は東心斎橋と日本橋から目が離せない。

いや、新劇場オープンなど小さいかも。大阪の街をまんま劇場にしてしま
う野外劇場はますます元気。何といっても世界を漂流し、瀬戸内の小島、
未来都市トキオを経た維新派が「地元」南港に還って来る。コマ落としで
転がり続けるギャグの嵐、身体を張ったキートンの世界が白黒のスクリー
ンから立体フルカラーになって蘇る。もひとつ、これも既に大好評シリー
ズ化なった女十手の捕り物帖の犯友。この寒空、毛布にくるまり震える観
客の前で本水に飛び込む役者が今年も見られる!?

劇場プロデュースでは「還る鮭たち」のアイホール、ステップアップシア
ターやクラシックルネサンスを継続する芸術創造館がうれしい。劇場あて
がき企画も、かつてウイングフィールドを使ったはせひろいちの傑作を思
い出す。役者じゃなく劇場にアテて、それを競う企画に敬服。「猫堀骨董
店」はドラマシティ企画で会場はヘップ。TAKE IT EAZY!の中井由梨子が
アカペラ集団を演出する期待作。12月はヘップの命運を賭けた中井翻訳の
「ハムレット」も控える。

転球劇場に先駆けて世界一団も、今作品をもって充電に入る。音楽とのコ
ラボ、アンサンブルの美しさがさらに磨かれ、戻る日を待つ。あと気にな
るのは「三蔵」を引っさげドラマシィに進出するファントマ、劇研のロン
グランも好評、追加公演が決まったニットキャップシアター、劇創ト社の
音楽短編集「ラジオスターの悲劇」第2弾、など。以上、日程つまってて
観れない、とほほ...。芝居の秋本番を迎え、スケジュール調整が大変、
みなさんお互いさまでしょうが。

9月

すみません、8月の予定を飛ばしちゃいました。
若干プライベートがごたごたしてたもので。
親戚に不幸が続き、身寄りが少ないので喪主の真似事もしました。
疲れたワケじゃないけど長時間の正座ってのが良くなかったんでしょうね。
ギックリ腰で、こっちがダウンしました。
人間ってのは死ぬのも大変だし、死んでからも大変だし、
生きてて雑事に追われるのもまた大変です。
で、その後お芝居観たら、死んだはずの人間が登場するだけで、うるうる。
生きている人間は実は死者とも会話している。
演劇は真実を衝いてるとあらためて思いました。

購入済みのチケットをムダにしたり、劇団にキャンセルをメールしたり
周囲に色々迷惑もかけました。
まだ体調十分でないので、控えめな今月の予定です。

必見はデス電所、WI'RE、クロムモリブデンが合体した東京。このプロジェ
クトが関西のビジュアル、ナンセンス系の今後をリードすると確信します。

実は、きたしば上半期ベストで大ショックだったのは、マレビトの「島式振
動器官」が高い評価を受けたこと。ハッキリいってストーリーはさっぱりわ
からず。もはや演劇の範疇を超えて美術、哲学からのアプローチが必要。た
だひとつ私にわかったのは、役者そして劇研のスタッフワークが恐ろしくす
ぐれていること。「蜻蛉」はそれほど難解な作品ではないが、「月の岬」で
松田みずから大学のクラス発表公演を演出した際、平田オリザ版とかなり異
なっていることに驚きました。明晰な分析を示す平田に対し、ファジーな松
田の資質が強調されていたので。「蜻蛉」の松田演出にも期待です。

ピースピットが亡きピスタチオの最良の部分を継承していると思うのは私だ
け? 正直、ピスタチオ時代の末満は腹筋や保村、蔵之介に比して目立たな
い存在だったけど、ピースピットを主宰してからのアイディアと人脈の豊富
さに感心しきり。めくるめく末満ワールドを堪能!?

「シンデレラ」は青い鳥の大阪初進出となるOMSでの公演が85年。この公演
をキッカケにOMSも青い鳥も小劇場界に羽ばたく。その「シンデレラ」に劇
団がピリオドを打つ。

7月

夏なのか梅雨なのかよくわからんが、毎日暑いですな。ウチでエアコンつかわ
ず扇風機を愛用(マイナスイオンのリモコン付がコーナンオリジナルで\2480、
安い!!)している私としては劇場の方が涼しく過ごしやすい。それかあらぬか
近鉄小劇場やOMSがなくなったというのに観劇本数はちっとも減らない、フシ
ギ!?

ピッコロ。万歳の美術を支えてきた加藤登美子にスポットを当て、同じ装置で
3人の作家が短編を競作する企画。万歳では役者が手動で転換するシーンも見
どころだが、今回の仕掛けは? 南船の芝居に應典院の劇場サイズがよく似合
う。お寺なので隣は墓地、今回のテーマは知らぬが生と死が幻想的に重なる世
界も棚瀬にふさわしい。オリゴ党は今回ホラーを謳うが、お笑いも期待しちゃ
う。

ピースピットは6人の作演出家作品のコラボ。万華鏡のごとく賑やかな舞台を
末満がどうマトめる? ところで気になること、出演者のひとり希ノボリコの所
属がコリボの木になってるのは世界一団を辞めたってこと? 太陽族も劇団員
が減ってる? そういう時期こそ旧作と新作の2本立連続公演で劇団をリセット
するって大事。秋には合同公演「東京」も控えるデス電、ノリにノッてるとこ
ろを見せて!! 関西TV「プラチケ」出演の山村涼子もなんだかキレイに。テク
イジの中井由梨子は天才。少女感覚と大人の知性、破壊的なまでに繊細。今ハ
マってます。

売込隊の横山が演出したアイホールハイスクールプロデュース「ルート」(5
月に上演)がおもしろかった。最初は素舞台、時空転換時に場所を説明する
キャスター付パネルが登場。パネルが次々増えて壁となり、進路が迷路とな
る。進むべき道に悩む高校生と、迷路からの脱出を卒業に重ねるラストがよく
出来ていた。劇団本公演も期待。MOPとエビス堂は再演、役者の成長ぶりが見
どころ。

後藤ひろひとは、ある意味正統な物語作家。作り出す世界はシュールとメルヘ
ンが奇妙に入り混じる独特のカクテル。もうひとりの物語作家、アサスパ率い
る長塚もクドカンと並ぶ旬のヒト。終末を超えた赦しの世界は混迷する現代の
突破口。切れ味鋭いブラックなギャグにも酔う。物語はまだ破たんしている
が、暴力の中にリリシズムとせつなさを感じさせる鹿殺しの将来性大。

水と油の「スケジュール」は観るが、スケジュールの都合で観劇できない公演
あれこれ。内田淳子の魅力大なれど三浦基の演出が耐えられないのでパスの
「じゃぐちをひねればみずはでる」。青年団と五反田団の3本立は観ます。上
海太郎とレプリカントのダンスマイム系は泣く泣くあきらめ。深津プロデュー
スの3人芝居と清流劇場(メンツがいい!)も日程合わない、とほほ。転球劇場は
夏の恒例、ゲストなし3人だけのアイホール。でも、イチバン気になるのは衛
星がお寺で演じるお茶会芝居。求む、観劇した人の報告!!

6月

川下大洋久々のドナインシタイン博士シリーズはチケ完売らしい。イベント企
画のノリに皆飢えてたってことかな。ヘドウィグは映画版が好きだった。グラ
ム時代のDボウイーを知る身としては懐かしくもせつない。これまた追加公演
が決まるチケ売行きだが、三上博史がどこまであのあやしさに迫れるかだな。

ユリイカ、坂道、みかんがむの重なる第3週末は京阪神縦断の忙しさ。アーバ
ンネットワークが発達してて助かります。JR、阪急どっちにする? アトコ
ン周辺は最近ホントオシャレ。改装された町屋が食堂、パーマ屋それにファッ
ション関係になってて。そんなモダンレトロな風景に溶け込むユリイカにしみ
じみ出来るシアワセ。神戸で演る坂道はいつも元気をくれる。あほあほパワー
と謙遜する角さんの笑顔が好き。みかんがむのゲストは水の会の原真。なにや
ら男と女のガチンコ勝負の気配。

りージョナルは作・演出それぞれ異なる2作品バトル。いわば、くんずほぐれ
つ4人の作演出家による格闘技の様相。演出が異なることで作風がどう変化す
るかじっくり味わうのも一興かと。同じ週末に元時空劇場のはしぐちしんによ
るコンブリ団が旗揚げ。「日本三文オペラ」を観てダッシュの役者の動きにあ
らためて感心する。劇団公演であれだけ走ってるもんなあ。大塚さんの演出も
おもしろいし、照明はいうことないし、あとはホンだけ!?

クロムは肩の力が抜けて、今いいところ。ごっそり役者が辞め、停滞した時期
もあったけど、少しカドが取れ、けど毒っ気は残ってる今が旬。羊の皮を被っ
たバイオレンスの美学、その完成も近い。BIRD SHITは狂言と竹内銃一郎の
真っ向勝負。能を翻案した近代能楽集みたく新たな小劇場の試みとなるのか。

満遊戯賊の解散公演も気になるが、日程上たぶん観れず。誰か観届けて。仙台
の三角フラスコが再度の来阪。前回は、女性ならではの繊細な感性が光る珠の
ような佳品を観せてくれた。う〜ん、行きたい...。

5月

連休は新選組人気で賑わう京都行きが楽しみ。といっても観光時間など取れ
ない例によっての劇場ハシゴツアー。レトロスーパースペクタクルの電遊と
松田正隆の新プロジェクト・マレビトなら京都遠征の甲斐あり。月末には地
点のチェーホフ、MONOをはじめ気になる役者陣出演のB.LET'Sも必見。

対する大阪は万歳を中心に天下の台所改善隊と銘打つプロデュースで「日本
三文オペラ」を再演。今は東西線が走るJR京橋駅構内のテントで行われた
伝説の公演が、場所も近い大阪城ホール倉庫のウルトラマーケットに復活す
る。映画「夜を賭けて」にも描かれた陸軍工廠跡へ金属かっぱらいに出撃す
る夜盗のごとき民衆のたくましさ。OBPと呼ばれる一大ビジネスセンター
こそかつては東洋一を誇る軍需産業の拠点。本作で亡き大日本帝国の夢をし
のぶのも良いかも。

宝塚宙組の和央ようかと花總まりのトップコンビが前作「BOXMAN」で菊田一
夫演劇賞受賞は驚き。タカラヅカのショーアップされたゴージャスさに誰も
異論はなかろうが、正直脚本の完成度と演出には疑問もしばしば。それをや
すやすクリアして自然体のカップルを演じのけた和央と花總の相性よさは特
筆。トップを組んで久しいのに未だ初々しさをなくさず、かつ円熟味を感じ
させる。四季ロイドウェバー版と違う「ファントム」が楽しみ。

ジャニーズと東京グローブ座が演劇に真面目に取り組んでいるのはわかる。
が、大阪公演のNHK大阪ホールはグローブ座に比して大き過ぎ。舞台設定上は
新神戸オリエンタル劇場がぴったりだと思うけど、公演回数や入場客数で無
理なんだろうなあ。ここにも大阪の劇場閉鎖が影を落とす。

4月

立身がいよいよ解散公演。主宰・関秀人の持味である浪花人情が色濃く、
劇団員も家族のようなつながりを感じるいいカンパニー。大阪からたこ焼
きがなくなるような淋しさを感じるが、新たな門出を祝福したい。いっぽ
う、鋼鉄猿廻し一座を解散した中村賢司が空の驛舎を旗揚げ。ていねいな
戯曲で社会を告発するが、脚本をカタチにしてこそ芝居。新劇団の顔ぶれ
に期待。

大阪の春は唐組から。今年も大阪城公演に紅テントが立つ。もはや演劇の
レベルではなく季語や風物詩。詰め込まれた狭いテントの三角座り、その
窮屈さがいつか快感に変わる。これってマゾ!? H・アール・カオスが代
表作を下げてキリンプラザに帰って来る。世界屈指のコンテンポラリーダ
ンスの旗手が、あの狭いホールで間近に観れるとは。そのキリンプラザを
道頓堀向かいに見る松竹座は近松の代表作を揃える。日替わりの2役キャ
ストを比べるのも一興。

古田新太が「髑髏城の七人」で主演するのは、たぶんこれが最後。なので
必見。オペラ公演用の大ホール機構をどれだけ使いこなせるか、いのうえ
演出の魔術にワクワク。この大阪公演は厚生年金大ホール、コンサートや
ないっちゅうねん。このイキオイだと、新感線の大阪城ホール公演もまん
ざらギャグではない。幻の「サイバーパンクラチオン」復活してよぉ。

3月

すんません、第1週末に間に合わなくって。現にもう私「木偶の坊や」観ちゃ
いました。樋口+内藤のタッグによる迫力十分。狭い舞台なのでテンション高
い役者を楽しめます。Piper「Nicholas Mcpherson」以来の上野みさもいい感じ。

来週もメイシアターに通って羊団。今回はシュール難解な哲学もの!? でも、
内田+金替は観る価値あり。作家と演出がクロスオーバーの企画「四話の女
偏」もハズせない。女性作家を他の女性演出家がどう料理するか興味深々。

初お目見えのウルトラマーケット。倉庫空間をどう使うのか劇場問題と相まっ
てマスコミの関心高し。劇場柿落しで上演する機会の多い「二十世紀の退屈
男」に内藤の仕掛と期待がわかる。個人的な興味は、今までさんざん上演され
てきた万歳十八番の新たなキャスティング。

維新派は今年の本公演へ向けたプレイベントか。遊劇体は脚本の上がり遅かっ
たとか。東京公演後で関西のお客さんはラッキー? こまつ座「太鼓」は初演
時に数々の賞をものした関西初公開。楽市は、なんか雑多で楽しい。テントは
キダムじゃなく、昔懐かしのサーカスっぽい。ウイングもレトロに染めてなごむ。

NGKは事実上キャスト代わりのデス電。竹内佑ワールド炸裂に期待がかかる。
八時半のスペースイサン公演は久々。京阪七条近くの小さなコヤはフンイキが
暖かい。八時半には新しい芸術創造館より、街並みにひっそり建つ劇研やイサンが似合う。

2月

第1週末、東京はリージョナルシアター参加のクロム。最近とみにわか
りやすく毒が薄いのが難だけど、トーキョーで売れるための仕方ない戦
略かも。でも、表面的に取っつきやすいが、シュールはまだたっぷり。
解散目前の立身出世劇場メンバーが淵野プロデュースで稽古場を使った
少人数限定の公演を。稽古場公演もおそらく最後。

リリパはラックシステムに続きワッハホールでの公演。王立劇場も寄席
を称して使用したが、演劇に開放する契機を作ったわかぎえふの手腕を
評価。いっぽう、同時期に閉鎖する近鉄劇場、劇場もときに交代劇の主
役を演じる。ふるさときゃらばんでさよならを迎える近鉄劇場に心から
お礼を。

第2週末はトレランスとファントマ。トレランスやカムカムミニキーナ
はかつての夢の遊眠社を思い起こさせる。野田秀樹は今やNODA・MAPに進
化を果し、時空の混乱と抒情あふれる世界を上杉祥三や松村武が引き継
ぐ。ファントマはつくづく美津乃あわ中心とあらためて痛感した「超能
力やくざ」再演。初演に出演すらしていなかった美津乃が看板女優の重
責を担う。伊藤のギャグハードボイルド路線を彼女がどこまで体現する
か見届けたいもの。(ちなみに美津乃が演じた超能力者役は初演が宮野純
子、初演の出演者で今も劇団に在籍するのは伊藤以外にマリリン門野だ
け)

流星ソウルシスターズは流星倶楽部番外として女性劇団員のみ出演。ふ
だんは脚本を大正まろん、演出を寺岡永泰と手分けするが、今回は大正
まろんが演出もこなす。大正まろんの役者名・小栗一紅が出演しないの
は残念だが、女性らしいハートフルな世界に仕上がりそう。第3週末は
清流、糾、鉛の激突。劇団を解散した北村想が書き下ろした脚本も、古
典を2本立て上演する鉛乃文檎も気になる。第4週末のアグリ、キャス
ト違いのWバージョン企画も大いに興味そそられる。

ふだんの宝塚バウホール公演は前売即完で観る機会がなかなかないが今
回はなぜかチケット余っているそうな。客席キャパ500で小劇場感覚だけ
に、絶好のチャンス。主演は細身がカッコイイ荘一帆、作演出は古典名
作のを題材にすることが多い太田哲則のオリジナル。蜷川のタイタスは
傑作間違いなし、観てないけど太鼓判。キャラメルは久々の菅野良一出
演に尽きる。青い鳥の劇団結成30週年は慶賀の至り。鴻上のロミジュリ
はスポンサーが、ファッションブランドのサマンサ・タバサってのが納
得。タ・マニネは岩松了を信頼(「西へ行く女」はさすがに難解だが)。

ここで告知とお願い。

「キタしば」でおススメの公演はどーだったのという疑問の方もなかに
はいらっしゃいましょう。そのリポートを始めました(おススメの全部に
は触れられませんが)。

http://www.log-osaka.jp/

を開き

Culture Critic Clip

の白と青のロゴマークをクリックしてください。過去の公演記録が出て
きます。(毎月10日更新)

そして、今回CCC初めての試みとして、WEB読者との顔合わせを兼ねたス
テージトークを企画しました。公演を観た後で劇団の方も交え感想を語
り合う予定です。当該公演を観た方なら誰でも参加できます。対象とな
るのは

くじら企画「密会」ウイングフィールド
2月21日(土)7時開演、一般前売2000円、当日2300円

です。終演後のアフタートークに便乗し、さらに延長開催の予定です。
ささやかながら飲み物、おつまみが出るかも!?
ぜひ、お越しください。以上、宣伝でした。

1月

今月末で近鉄小劇場が閉館、上の近鉄劇場も2/4のふるさときゃらばん公演を
もって閉館する。さよなら公演は奇しくもアート館閉鎖と同じイッセー尾形。
アート館最終日には、何と急遽アンコールまで演じてくれたイッセー。劇場と
大阪の観客へ愛のこもったメッセージを最後まで送り続ける。

近鉄劇場、小劇場と上下で力作が並ぶ。惜しくも渡英ならなかった発砲の日本
語、英語版のW上演。それにダッシュと世界一団の新作。どこも役者の活きが
良く、装置・照明のビジュアル面でも見せる。法王庁は、かつて上演した近鉄
小劇場から大きく育って、今回は上の近鉄劇場に移っての公演。「Poemix」は
ミュージカル版「天使は瞳を閉じて」に続き、森雪之丞(作詞。天使の大阪千
秋楽カーテンコールで挨拶)と風花舞が登場。

「止まれない12人」と「夏の砂の上」は同時期に再演対決。エンタメとシリア
ス、分野は異なれどどちらも好評の初演をどう超えるか。蜷川リチャードも
早々と再演、市村の人間性が出るのか、悪役をやらせてもどこか愛嬌がある。
共演は久世星佳に代わって同じく元宝塚、こちらも芝居巧者で鳴らす香寿たつ
き、蜷川作品初参加に期待。

歌舞伎と狂言で干支にちなんだ靭猿が競演される。鴈治郎と万作の一家三代の
共演が楽しみ。新感線は久々のいのうえお馬鹿作品、劇団員揃い踏みに涙。ク
ロムはいい!! 昨年黄金企画として再演された「ソドムの中」がまったく古く
ないことに驚いた。クロムは時代に早過ぎたのかも。そのクロムが丸くなった
のか、これも今はなきrise-1シアターでの前回公演「直接KISS」は、ウェルメ
イドといっていいほど完成された美学を提示。はちゃめちゃワイルドな昔を忘
れるなってのが唯一のお願い。