12月

芸術創造館で恒例クラシック・ルネッサンスが始まる。既成の戯曲
を読み直すことが、劇団オリジナルの新作に大きく影響することを
これで知る。あまり上演の機会がない古典と出会える作り手にも観
客にも貴重な好企画。選ぶ作品は別ながら参加劇団同士がライバル
とも励みにもなろう。まずは、WI'RE、遊劇体からお手並み拝見。
その芸術創造館でタントリズムが解散公演。J演劇を標榜し、ポッ
プアート感覚で時代を駆け抜けて最後までクール。

アイホールはおなじみ青年団と、記念事業のオリジナル「南半球の
渦」。今や超売れっ子の土田英生を作・演出に迎えたプロデュース
に期待大。燐光群の坂手洋二も今年はヒット続き、脂の乗った2人
の風雲児に目が離せない。

扉座もチケ苦戦らしく劇団から「安売りします」のDMが来る。某
キャラメルみたい(前売チケ持ってたので、ムカッ!)。先月の近鉄
劇場「ある豊かな生活」がイープラスで半額チケットまで出して、
入り4割の惨敗(ちなみに1回公演)の再現!? 同作は内容は良かっ
ただけに(扉座も作品はいいはず)、こうなると制作の責任大。

お笑い系。角ひろみだろうと誰だろうと客演変われど、変わらぬス
クエアの世界。しみじみおかしく、かなり笑えて、ちょっぴり寂し
い。カムカムとしては久々の大阪公演。八嶋と松村2人揃うのが珍
しいってのは、劇団として売れてることを喜ぶべきか、ヘンと思う
べきか。JOVI JOVAも久しぶりだが、ラーメンズはしつこいくらい
の来阪、でも実は私ラーメンズ観たことないし、実は心斎橋の博多
一風堂も行ったことないっす。

宝塚初心者でもドラマシティ「聖なる星の奇蹟」なら行きやすい。
作・演出が2年前、ここでミソをつけた児玉明子なのがちと心配だ
けど。「月夜歌聲」はいい作品だが、盗作問題で今だビデオ化され
ていない。「オペラ座の怪人」と「夜半歌聲」が下敷きとのお断り
は明記されているが、そのまんまはないやろとも思う。今年バウデ
ビューの新人・小柳菜穂子の「SLAPSTICK」もよく出来ていたが、
ケラが既に主役も同じマック・セネットで「SLAPSTICKS」を上演済
と知ってガッカリ。ロミジュリを元ネタに、ウェストサイドを作り
上げるくらいの気概が欲しい。

今年末、最後の話題は、久々に舞台復帰する筧利夫に期待ってこと
で「透明人間の蒸気」。難解な野田秀樹脚本を、筧の肉体がどう消
化、体現するか見もの。

11月

リストに掲載分は予約済み、99%観るはずだが、第3週末だけ決めかね
てるのね。流星倶楽部「みかちゃんち」@あべのロクソゾンタ、TP
Produce「まるさんかくしかく」@カラビンカ、売込隊ビーム「お気楽
ショートストーリー」@rise-1、上海太郎「opef」@豊中市立ローズ
ホール、以上4本のうち、ナニを観るか悩みどころ。

待ってました、平成中村座それにモーツァルト。夏祭浪花鑑を勘九郎が大
阪で演るんだよ、観なきゃ!!「モー」は同じ作者による「エリザベート」
@宝塚が連日超満員の盛況、やっぱ音楽がいいっす。オペラのスコア書け
る人がいないってのが、和製ミュージカル最大の弱点とあらためて思い知
るね。

コリアフェス関連で招聘の黒テント、ブレヒトは個人的に苦手だけど、わ
い雑なコメディと思えぱいいかな。SETは、毎公演ごとに劇団全員で何
かに(楽器とかタップとかアカペラとか)チャレンジする姿勢が好き。

ナビは寿歌と並ぶ代表作「想稿・銀河鉄道の夜」を改訂。高校演劇出身者
で台詞のひとことも言えなきゃもぐり、ってくらいの名作。本家本元、真
打登場ってとこ。「帰りたいうちに」も戯曲賞取っての凱旋復活公演。ボ
ケ老人が幼女のようにいとおしく描かれる。「手の中の林檎」は「青木さ
ん家の奥さん」みたいにダラダラしたエチュード劇。その日の役者次第で
しょうか。

レプリカントとPHMのアートパフォーマンス系、コレはもうハマるか否
か。そーいや、レプリカントもオレンジルーム(現HEP HALL)から観てるか
ら私もハマってるクチか。パフォーマーが成長するのを見守るってうれし
いものよ。

先月「おかしな2人」男編と女編の連続上演、当日券を求める長蛇の列、
あふれんばかりの大入りに驚き、加藤健一事務所の近頃少ない観客数をす
ぐ連想したのね。同作も加藤健一のおハコ、何回も上演しているが、動員
数だけでなく演出の垢抜け具合も全然違う印象。どちらがイイ悪いじゃな
く、宣伝やプロデュースの違いで生じるイメージの差って大きい。近頃は
すぐ卑下されるポピュリズムだが、たくさんの人に観てもらってナンボと
も思う。まあキャラメルボックス方式もどうかと思うけど。だいたい、
キャラメルはチラシ1枚も劇場で見かけんもんね。公演する劇場では、む
ろん置きチラシあるが、他劇場で挟み込みする必要ないって傲慢さはいか
がなものか。そこいくと新感線は、本チラシが完成した時にゃ、チケット
の一般発売日はとっくに過ぎて完売、チラシ告知の意味ないじゃん、と思
わせつつ凝ったチラシをちゃんと配布するって姿勢が泣けます。まあ、文
句言いつつ、キャラメルも欠かさず観てるんですが。

閑話休題。地味でマイペースなカトケンは、元カクスコの井之上隆志の起
用が話題。ホンがちゃんとある芝居で大丈夫か?(失礼) がんばって欲し
いもんです。太陽族、坂道ストア、桃園会、水の会もお忘れなく(忘れる
ワケないよね)。月末には未確認情報だが、A級 Missing Linkの公演もあ
るとか。

10月

立身のヅーフの初演はイマイチ、アイディアは良かったのだけど未完成のまま
力尽きた感で、劇団としても納得できかったのだと思う。全面改訂の今回にリ
ベンジが賭かる。「オセロ」器用な人たちが集まっているので、楽しめるもの
になるのは間違いない。世界一団も再演とはいえ「645」も控え大忙しだが
次につながるプラスアルファとなるか。「月影」次の新感線本公演でも共演す
る高田聖子と佐藤アツヒロ(もはや準劇団員?)の顔合わせ、おなじみ池田成志
が演出をし出演も。個人的には「ゴロおま」などに出演していた元新感線の前
田昌代が懐かしく、成長ぶりを観れるがうれしい。先日の少年王者館「香ル
港」にも元新感線のヒロシが出演、脱臼した左肩をかばい片手だけで元気に王
者館ダンスをこなすが実にけなげ。

飛ぶ鳥落とす勢い、土田英生人気にもびっくり。ピッコロ劇団はみな器用なん
でMONOとは違う土田世界を再現するでしょう。デス電所とヨーロッパ企画
がブツかる第2週末は今月最大の山場。OMS最初で最後(ジョイントのTIP
COLLECTIONには出演するが)のデス電、よしもとrise演劇祭にチャレンジする
ヨーロッパ、どちらも応援中!! ナンセンス、シュールを基調とする両者だが
まったく対照的な作風、エネルギッシュで知的なセンスに圧倒される。独特の
ち密な世界を作り上げるくじら企画、今回は死刑囚・永山則夫がモチーフ、事
件を題材に普遍性に迫る劇団の姿勢にはいつも胸打たれる。個人的にも永山著
「無知の涙」は大好き。連続殺人を犯した彼が、刑務所の中で新たな人間とし
て生まれ変わったことに奇跡を信じる気にすらなった。演劇という虚構がどこ
まで真実に迫れるかが見どころ。BRAINDICKは巨体役者2人より、作・演出の山
浦徹の才気が楽しみ。

大川興業、一時の人気はどこへやら、とみに寂しい近頃の客席。が、客に媚び
ずシリアスなテーマに笑いをまぶす姿勢は一貫、意外とまっとうな大川豊、か
つてのガクランはダテじゃなく心意気は本物の硬派。東京のリージョナルシア
ターにも出演するUgly duckling、キュートな役者陣、手ごたえのある脚本とパ
ワフルな演出。ある意味で洗練されないカオスが劇団の魅力、どこまで化ける
か底知れぬ不思議さを秘める。

桝野恵子に続き山岡徳貴子の名がチラシから落ちた(退団?)八時半。芝居屋坂
道ストアと同様、どんどん少なくなる劇団員が心配だが、鈴江俊郎が書く戯曲
世界は不変、そして私はそこが好き。犯友は、女目明し十手捕物帖のシリーズ
化を、前回のウイングフィールドに続き、いよいよホームベースの野外で。貸
本の読み物を語る調子の肩のこらないノリに、得意のケレンが加わるとは大い
にワクワク。「CVR」が社会的現象にまでなった(東京だけなので残念ながら未
見)燐光群。時代を撃ち続ける坂手洋二の骨っぽさは感心を通り越す。

最後に商業演劇系。タカラヅカの大当たり「エリザベート」を今回4組目にな
る花組が公演。歌唱力に定評ある春野寿美礼のトートはノープロブレムだが、
花總まり、白城あやか、あるいは東宝版・一路真輝が見せた気品、近寄りがた
い美しさに、今公演で退団の大鳥れいがどこまで迫れるか注目。退団した陵あ
きのの持ち役だった(狂気の演技が絶品!!)精神病患者を誰がどう演じるかも興
味深い。その春野の前々トップだった愛華みれが主演女優の「チャーリー・
ガール」。チケット販売はイマイチ。「検察側の証人」もチケ苦戦とか。ハナ
シはみんな知ってるからかしらん、「月影」の作者・河原雅彦や元MOTHER・升
毅も出ていて顔ぶれ多彩なんだけど。

これこそ話は誰もが知っている「ハムレット」にまたまた新演出が加わる。
キャスティングは男女入替、振付にコンボイの舘形比呂一に期待抱かせる。安
寿ミラのハムレット、植本潤のオフィーリアって美しそう。かつて「検察側の
証人」に出演の麻実れいもハムレットを演じたが(オフィーリア役・羽野晶紀の
狂気のなんと可憐だったことか!!)、颯爽とした立ち姿が中世の肖像画を抜け出
した王子そのまま。ハムレットには大人になりきれない未成熟な部分があり、
女優が演じることで中性的、モラトリアムで不決断な行動が匂い立つ。

9月

王立劇場を終えたばかりの大王が、AGAPE store「BIG BIZ」の再演。これには
「アテルイ」を終えた粟根も参加して忙しい。けれど、それを上回るのがタイ
トルロールのアテルイを演じた染五郎、こちらは新作だから歌舞伎の世界はど
うなってるんでしょ。(勘九郎や猿之助のスケジュールなど見るのが怖い)。

メタルでブラックなクロムが、ぴっかぴっかのウッド調内装の一心寺に合うの
かなあ。でも、rise-1と同じく新しいホールだから音響、照明など設備が強
化されてるのはクロムに有利。作家競作のオムニバス、先月の赤鬼「トラベ
ラーズ」はもひとつだったオカモト。出来不出来のムラがあるエビス堂ですが
役者には太鼓判押す。あうん堂、鋼鉄もいよいよ旬、見逃せないところだが内
容は知らないので言及できません。

今月、いちばんの楽しみは「新京の動物園」と「香ル港」。電視遊戯科学舘は
維新派クラスのど胆抜くビジュアル装置で驚かせてくれます。残念ながらOM
Sでは最後の公演となる少年王者館、かつて維新派も参加した「香ル港」が復
活。OMS取り壊しの理由は老朽化だが、京大西部講堂は30年以上前から倒
壊の恐れありと言われていたっけ、大丈夫?

ウイングフィールドとOMS、あとプロデュースで吹田メイシアターでしか観
たことのないPM/飛ぶ教室が、芸術創造館の空間をどう生かすのか。言葉で埋
め尽くす蟷螂の内的世界に今回も期待。まったく違う感覚ながら、翌週の売込
隊ビームも大好き。おフザケのようで、しっかり取れている間に誠実さがのぞ
く。

8月

更新が大幅に遅れてゴメンナサイ。締め切り?守れずカメルーン(古
いっ!!)しちゃったのはすべて私の責任。維新派@犬島ボケしてたせ
いもあるけど、年に一度のペースで襲われるギックリ腰がホント痛
い!! おかげでチケット持っていながら8月弟1週末は流した公演も
いくつか、とほほ。ナイロン、MONO、HAKANAはなんとか行
きましたけど。

で、完全復帰ではないので、観劇予定は控えめにして。ラインナップ
を見てどこが控えめじゃ!!と怒り?のご仁もおられましょうが、あく
までこれは現時点でチケットを持っているものだけ。スキあらば、行
きたい公演はぎっしり。A級 Missing Link、劇創ト社、Blue,Blue.、
赤鬼、必死組とか。HEP HALLの女性作家・演出家シリーズと大阪野外
演劇フェスは泣く泣くあきらめますっ。カラダはひとつ、なんとかこ
の暑さを耐え抜くゾ、お互いご自愛しましょ。

今月のキーワードは復活!! MOTHER解散後の牧野エミ舞台復帰?はコ
ント集。めざすはお笑いとおしゃれダンスの融合!? そのjelly fish
へもコント提供する後藤ひろひとは「荒波次郎」を再演。注目はなん
たって宝塚トップ娘役だった宮崎優子(風花舞)。可憐でしかもバリバ
リのダンサーだった彼女が、あのOMSに出るなんてアンビリバ
ボー!! かつて真矢みきがトークショーで出たことはあるんだけど、
小劇場のメッカで元宝塚が芝居するってのは事件です。

そのOMSもなくなるけど、世の中悪いニュースばかりじゃない、再
オープンした一心寺シアター倶楽はいいコヤです。ここで、また伊藤
えん魔の名調子が聞けるとは極楽極楽。いやあ、内容は怪談地獄話な
んですけど。お馬鹿な法螺(ホラー=恐怖)でちょっとは暑気払いにな
るっしょ。新宿梁山泊が古巣の唐の名作をリバイバルってのもいい。
つかこうへいのエンドレスリメイクはロマンス、オリンピックフェチ
なのね。勝負にぶつかる愛と友情と悔しさと怒りと笑いと。それがす
べて涙に凝縮する世界。例えば結婚式でうれしいのに泣けるという、
人間の矛盾した心理のヒダを追い続けるつか定番。

OSKは、有名過ぎるシェイクスピア「夏の夜の夢」に挑戦。クロス
する恋をシャッフルと呼ぶセンスに期待。宝塚はプッチーニのオペラ
で知られる「トゥーランドット」を下敷きに木村先生が、ついにブレ
イク。留学から帰国後オペラ作品リメイクでハズし続けた先生だが、
絶好調の宙組トップを得ての感動作。ヅカファン以外にもおすすめ、
花總まりの気高さ豪華さは必見。ショーの古さをおぎなってあまりあ
る傑作。

7月

今月は犬島のランドスケープと化す維新派に尽きる。アプローチが大
変なハンディをも快楽に変える維新派パワー。劇場閉鎖あいつぐ大阪
にも劇場ごと建ててしまう発想と根性が必要なのかも。

好き嫌いハッキリ別れる「つか」。私はこの濃さと熱さが好き。日常
のベールをハギ取り、感情を突きつける短刀。宇宙堂の見どころは、
しのぶちゃん。先日大竹しのぶとタイマン勝負の「欲望」が終わった
ばかりの売れっ子。寺山修司は苦手だけど、久世星佳はずっといい仕
事してるので見逃せない。同じく宝塚OGのズンコこと姿月あさと。
米米クラブ時代に演劇的と評されたアーテスト石井と組んで、コン
サートと演劇の壁を超える?

水の会を観ると最近の劇団って会話がリアルだとつくづく思う。平田
オリザの現代口語って、しょせん頭デッカチな言葉、自分の世界を表
現するためひねり出した恣意性がプンプン。会話のリアルをカラダ全
体で軽々表現しちゃう「今どきの若い人」はホントすごい。ダッシュ
「BRIDGE」初演は、共演のTEAM発砲・B・ZINと融合しきれず尻切れトン
ボ。リベンジを期待してマス。人を食ったタイトルのPiperは、演出補
佐の楠見薫がイケてるんでは。OMS戯曲賞の候補が続くWI'REを、ま
だ未見。公演場所も未知、小空間らしいので虚心に楽しみましょう。
新装の一心寺シアター倶楽へも初めてのお出かけ。ピースピットは、
柿落しのにぎやか顔合わせ興業(に終わってしまう予感)。

蜷川は今ノッてるカンジ。選手起用の当たってる監督みたい。今回は
映画「陰陽師」も好評な狂言師・野村萬斎。ドラマシティ上下のコマ
劇場にカメルーン遅刻常習の和泉元彌がニアミス出演(4-15)。和泉流
狂言の宗家問題の話し合いの機会ならず。清流劇場は、メッセージの
怒り部分が最近はどんどん抒情に溶け込む。詩的なドラマに残る骨っ
ぽさ。南船北馬一団も硬派な詩人。怖いほど美しい。キャラメルはと
みに年配の観客が増え、もはや押しも押されもせぬ商業演劇の代表。
障害者が主人公な話を機に劇団員全員が手話を取得するなど、前向き
健康優良児な体質は評価。

6月

5月の観劇抑えめ基調から打って変わって6月は予定が目白押し。第
1週は近鉄劇場の上下で花組芝居とファントマの競演。どちらも濃い
キャラ、骨太な娯楽をたっぷり。連続観劇じゃ、もたれてゲップ? 
Giselleは役者が気になるところだが、ここは将来性を賭けて想流私塾を選択。

第2週。大竹しのぶのブランチは評判良さそうで楽しみ。大人計画も
前人気沸騰で慶賀の至り。「賞金稼ぎ」初演時に本の上がりが遅く、
前半の公演が中止されたため前売チケット持っていたのに観逃した作
品。知らずにアイホールまで出かけ、すごすご帰った無念さを取り返
すぞ。今ならネット等で公演中止情報をもっと早く告知できたでしょ
うに。世界一団はゴチャゴチャとしたとこがすごく好き。何が飛び出
すかわからないカラフルなマーブルチョコ(古い?)。美人じゃないけ
ど女優さんもそれぞれ個性的。前はダンサー・希ノボリコだったけど
今はアンニュイ・吉岡晶子がごひいき。

第3週。地球G、フェスという大バコは×だけど、それなりのものは
見せてくれるでしょう。休演日はW杯のTV中継絡み? 広い会場だ
と集中力高めるために、体力と気合が大事。T factoryは、毬谷友子
と川村毅の意外な組み合わせ!? 昨年は黒テントの佐藤信とも組んで
おり、毬谷の冒険心とどまるところ知らず。アンテナ劇場。は、チラ
シの写真いいのよね。梅本真里恵のエクボが実物以上!?に可愛く撮れ
てる。山本操、晴田海のキレイどころ+クセ系の田所草子(ちょい変
わってて好き)と女優はそろう。あとはオカモトのホンと演出にか
かってるぜよ〜。rise-1プロデューサーの高見健次としても、動員好
調なエンタメ路線の試金石。「mama loves MANBO」黒木瞳+岡幸二郎
+森山未来は、演ってる方もご機嫌なのが伝わって、今回の再演?に
も期待。「ストーンズ」市村正親+勝村政信とこれも実力派対決、前
売完売も当然っしょ。桃園会は、ある意味ホームグラウンドなウイン
グでの公演。高さと空間を生かしたアイホール、演出はキタモトにま
かせた昨年の野外と、会場の違いに合わせる深津マジックのお手並拝見と。

第4週。草なぎリーディング「椿姫」のチケ取れず泣く。ヤフーオーク
ションに山ほど出てるが。そこまでしてなあ、とも思う。梅田のチ
ケット屋で6万円で出ていたのが見当たらなくなったから売れた?と
すると市場価値は20倍かいっ。土田英生ファンがひとりでも増える
としたらうれしいことだが。私しゃKUTO-10と糾(あざない)をじっく
り観ます。どうでもいいけど芸術創造館へ電話予約したら、工藤俊作
本人が電話取ったりするので、なんかキンチョー。転球劇場や石原正
一ショーの劇団予約で橋田雄一郎や石原が電話取ってくれるのはわか
るけど。「フォーチュンクッキー」謝珠栄は演出を振付で考えられる
稀有な人。ダンス表現でストーリーと感情を渾然一体化させる力を持
ち、時代のビビッド感もそなえる。宝塚と野田秀樹から吸収したもの
を昇華し独自の領域を拓きつつある。青年団が実験公演として鈴江俊
郎の全作品を解体/再構築する。何が見れるのかお楽しみだが、角舘
玲奈(きゃあっ!!)を直近で見るだけでも買い。

OMSでも公演するラックシステムだが、千秋楽を新しく出来た地方
ホールで観る。あちこちハコは出来るのだが、ソフト運営の困難さを
知る。OMS閉館と合わせて由々しき問題。ジャブジャブサーキッ
ト・はせひろいちはジャーナリスティツクな問題意識とサスペンスミ
ステリーな味付けで、演劇界の宮部みゆきか高村薫もしくは桐野夏生
だと私は思う。世間での知名度の低さに演劇人口の少なさがあらため
て哀しくなる。認知度の高い松岡昌宏を起用してのスサノオ。アイド
ル嫌いの方もいましょうが、いのうえひでのりが演るからには誰が何
と言っても新感線。初演の羽野アキ、高田聖子、村木よし子(今でこ
そおばさんキャラ全開だが)の3人娘の可愛さったらなかった。新感
線の中でも大好きな作品なので、いのうえ本人によるリメイクと思って楽しむ。

5月

今月の観劇予定は、ちょっと少なめ。いつもはチケット握りしめてる分のみラ
インナップしてるのだけど、今月はチケット手にせず、観るつもりになってい
る分総動員してもこれだけ。劇研演劇祭は観たいものばかりなんだけど、日程
が合わず泣く。時代はダンス、という企画にとっても共感するのだけど。AM
P「CAR MAN」や四季「コンタクト」など新しいダンスエンタメの流れは明ら
か。コンテンポラリーダンスもつい堅苦しく考えがちだが、ダンサーが作り出
す空気をもっと楽しもう。感じるままの彼らの身体の動きが、これからの舞台
表現の可能性を拡げるはず。羊団とENTENは、お互いを意識したタイトル
からも何らかの連動がありそう。

関西小劇場の意外な顔合わせを楽しめるのが「ソフトマシーン」「深流波」
「永遠の愛を誓って」の3本。どれもワンアンドオンリーの役者の出会いに期
待。新生そとばこまちは確かに動員減しているが、1作目の内容は悪くない。
売れっ子の生瀬勝久、山西惇、八十田勇一らが抜けて体制としてはすっきりし
たと思う。客演も多い福山俊郎が、ひ弱そうに見えて実は熱いキャラをやらせ
たら絶品だし、安井博美と中西邦子の、おばさんなあやしさにもますます磨き
かかり、ごひいき曽木亜古弥の得体の知れない可愛さも健在。異例の3部作と
いう大作をシリーズ最後まで見届けたいもの。

4月

最大の注目株は、久々のホールライブとなる維新派。海外公演もこなしさらに
成長した浪花弁ラップが楽しみ。夏の犬島公演への期待も高い。いまだに関西
演劇界を余震で嘆かせているOMS閉館ニュースだが、そのOMS以外の公演
は考えにくいPM/飛ぶ教室(ウイングフィールドで演ったこともある)、美術・
照明・音響一体となった会場の使い方には定評があるだけに今回も見逃せな
い。「ダブリン」は「彦馬」でも断然目立っていた大倉クンでキマリ。ねじれ
た手足、壊れたロボットのようなギクシャクした動きは天然。計算できないお
かしさは心根のやわらかさにある。以上おススメ度☆☆☆。

以下、関西発3本の☆☆。飛ぶ鳥落とす勢いの転球劇場にインディの顔合わ
せ。ファントマのゲストで主演したこともあるインディが、新感線では見られ
ない演技派ぶりを披露するはず。「ここからは遠い国」は、内藤演出のOMS
プロデュースを経て劇団オリジナルとして久々の上演。オウムをネタにテーマ
の普遍性をあらためて問う。劇団員の成長とキャストの変更にも注目。シャト
ナーが立ち上げるLOVE THE WORLD、もともと演出のうまさは目を引くだけに先
が楽しみ。哲学と肉体の一体化というライフワークをどう舞台表現するかのこ
れも一里塚。

この季節恒例の唐組が、公演場所を生国魂神社から扇町公園を経て、今回は中
之島公園に移す。私見だが整備され過ぎた最近の扇町公園に、わい雑なテント
が似合わなくなったきたのも理由のひとつだろう。都会のネオンを川面に映し
ての公演もおもしろい。

3月

イチバン楽しみなのは、大竹しのぶ。12月は中島みゆき「夜会」とキ
マっていたコクーンを、芝居心ある歌唱力で魅了してあらたな伝説と
なったとか(注:当月のコクーンでは「四谷怪談」公演もあり)。初演の
迫力に圧倒され、思わず原作本を購入した「OUT」。小市慢太郎から
千葉哲也に役替わりして怖さ増しそう。前回の大阪初登場でOMSを連
日あふれさせた阿佐ヶ谷スパイダース、骨っぽい脚本、適確な客演に
並々ならぬ才能を感じる。以上、超おススメ3本。

関西勢。南船北馬一団はひさびさ1年ぶり、前作に続きオリジナルでな
いのが残念だが、片桐慎和子の加入が強力。立身も小劇場にあって歌舞
伎/落語に見る人情世話物の伝統を引き継ぎ、とってもハートフルで好
感持つ。桃園会は新作と再々演の2本立て、WFよりせまいあの濃密な
空間で観れるだけで幸せ。MONO新作もハズレなし、(前回は他へ客
演していた)金替の復帰が楽しみ。鋼鉄猿廻し一座も桃園会に続いてカ
ラビンカで公演、深津の後を受けて想流私塾師範となった縁を感じる。
同じ時空系列の中篇2本立ては「カラカラ」を思わす。猫尻も名作の
再々演、新旧交じるキャストに懐かしさ以上のものを期待。売込隊ビー
ムは、長編短編でコンセプトをまったく変えているとか。客つかみ、笑
いに徹した今回は手放しで楽しめる。名実共にリリバット主宰となった
わかぎゑふが初オリジナルで近松と向き合う。ギャグか女性視点か大阪
人の本音が出そう。遊気舎はそとばこまちと同じく劇団再編をめざす。
元そとばの石原正一脚本に目をつけたのはイケてる。

A級Missing Linkは未見。「あまつみ」も内容はよく知らずメンツ良い
から行く。役者バカ保村は見たらなあかん心境。「地獄めぐり」は東京
じゃ完売の人気とか、とにかく笑える(ハズ)。Studio Lifeは、マンガ
原作のテイストをどこまで舞台化できるか。絵麻緒ゆう関西でのトップ
お露目としては地味な「殉情」(春琴抄)、でもイトコの毬谷友子も立て
なかった頂点でガンばって欲しい。

2月

内藤裕敬作品があいついで上演。大阪市の支援を得ての小劇場プロ
ジェクトともいえる「大胸騒ぎ」。パワフルなアンサンブルでは右に
出る者がない内藤流のダイナミズムが楽しみ。「大胸騒ぎ」客演陣の
転球、シャトナー、松本キックらが先日出演した「青木さん家の奥さ
ん」を、ジャニーズ事務所のアイドル(嵐の大野智)主演で。「東亜悲
恋」でもナイスな助演ぶりを見せた横山裕といい、アイドルとあなど
れない華と実力が彼らにはある。演出・出演の河原雅彦がセリフをカ
マないか逆に心配。

今月のラインナップでチケット完売が「青木さん」「身毒丸」「彦
馬」と、劇団解散公演となるMOTHER。個人的には、MOTHERは四方囲み
ステージに尽きると思っているので今公演にはそれほど期待していな
いが、これから淋しくなるのは事実。佐々木靖乃のどーでもいいギャ
グが妙に懐かしい。

ベタポ、花緑、発条トは初見なので興味深々(観ていないので何もいえ
ない)。ダンスでは、これも未見のレニ・バッソも観たいのは山々なれ
ど、スケジュールの都合で泣く。バレエコンクールのオープニングを
飾るガラに、上野水香や佐々木大らが出演する「メダリストたちの競
演」。ちょうど冬季オリンピックの頃に行われ、フィギュアスケート
と似たダンスとその美しさを比べるも一興。

「ボーダーレス」はこれからって時に、宝塚を辞めてしまった蘭香レ
アに注目。ダッシュは劇団員が男女別に分れての2本連続公演。人
気・実力さてどちらに軍杯? スクエアは、神戸まで遠征する価値あ
り。客演が豪華?過ぎるのが逆に不安だけど。

あとは行けたらの未定組。ベトナムからの笑い声、エレベータ企画、
そとばこまち、水の会、そして電視遊戯科学館。とりわけ、仕掛けが
おもしろいと聞く電視遊戯科学館のロングランの成果が楽しみ。近大
芸術フェスティバルが大学内で22日から行われるので1度は顔を出す。

1月

9/11が世界史に刻まれたように、1/17もまた私の記憶から失われる
ことは、けっしてない。その阪神大震災を鎮魂するかのように、神戸で「カ
ラカラ」が新たに蘇る。脚本家だけでなく、演出家としても深津篤史へ期待
が高まる。新作を教え子に提供するのは鈴江俊郎の近大の卒業公演、昨年も
見ごたえ十分なだけに、これも楽しみ。無料公演だが、早めに席を確保した
い。岩崎正裕は、アイホールの演劇ファクトリー卒業公演を担当。亡くなっ
た如月小春へのオマージュとなる公演だが、如月作品は都会的で現代感覚、
岩崎は泥臭く幻想的。折り合いのつけ方によっては、おもしろくなりそう。
いずれにしろ関西を代表する劇作家が自劇団ではないところに演出をつけ、
期せずして競う結果となるが愉快。これも関西在住の至福、演劇好きへの絶
好のお年玉でしょう。

化石オートバイ、世界一団という元気なエンタメ系も楽しみ。客演で引っ張
りだこの山浦徹が本腰を入れた劇団本公演は出演者も多く、すさまじいス
ピードのシーン切換が期待できる。世界一団は、これまた3劇団合同公演
だった初演を、単独で再演。とみに実力ますますアップの両劇団のお手並み
拝見、いよいよ本格的なブレイクもカウントダウンの2劇団、春は近いっ!!

松竹座の歌舞伎は新之助人気に尽きる。久しぶりの関西お目見えは、いやも
う光り輝いているにキマってる、男の私ですらヨダレ出そう(ホモセクシャ
ルの趣味はないんだけど。実際、芸に感服はするが美輪明宏は、もう見たく
ない)。宝塚大劇場は、ブロードウェイミュージカル「ガイズ&ドールズ」
の再演。先日、前夜祭を見たが、霧矢大夢の娘役が意外とハマっていた。対
する大和悠河も包容力を見せ、何より歌唱力が進歩したのが良い。成せばな
る、きっと努力したんだろうな、エライっ!! 新トップ娘役の映美くらら
は、さすがに若く、若さゆえ酔っ払ったシーンが可愛くて、おかしくてとっ
ても新鮮。本人はアルコールがダメなそうで、これまた芸の精進でしょうね。