みのるさんの下半期ベストアクト


上半期がほとんど観られず、下半期はどうなるのだろう、と
思っていたら、何とか21本(内東京で2本)観ることができました。
それでも見逃しているのも多いと思いますが、芝居に携わる人たちの
「20世紀が終わること」への思いがヒシヒシ伝わったような気が
してます。

作品部門

1位 1位 遊気舎「JULIO」

 「人間風車」の初演も「怖いなぁ」とは思ったけれど、「JULIO」の方が「どうし
ようもできない人間の怖さ」が際立っていた感じ。それと見せ方ですね。
内容的には、中盤で予想がついてしまうモノをよくぞ期待以上のホラーに
仕立てたな、と。演出家・楠見さんのこれからに注目してます。

2位 桃園会「世界に一家」

 まず「家族ありき」で語られることの多い(大抵嘘くさい)世の中で、
個が集まるから家族になる、という描き方に共感しました。
あの兄妹たちも、傍目から見ればちょっと変に映るのかもしれないけれど、
あの兄妹だからこそ、「どこにでもある」んじゃない、自分たちの家族像を
作れたんだと思います。だからこそ、重いものを投げかけられたような
気がしています。

3位 あらたの企画「クラムボンは笑った」

改めて作・別役実という人に興味が湧いた作品です。
延々と噛み合わないやり取りが続く中で、ふっと見える
「別役さんの時代への思い」。今回のが90年代に書かれて
いるものだとすれば、やはり世紀末を生きる人たちへの
別役さんなりの意見なんだろうな、と思います。かなり辛辣。

役者部門

1位 山本忠さん(遊気舎)

 「JULIO」の渋い刑事役に惚れました。特に、西田さんを見送る時の
疑わしいアノ眼。これでヤラレてしまいました。ホント、巧い人ですね。

2位 久松信美さん(自転車キンクリートSTORE)

 いつものパワー全開、プッシュ全開の演技も好きですが、
「またもや休むに似たり」の演技で、私こそ「またもや久松氏にハマる」
となりました。「こういう人いるいる!」と言わせてしまうところに、
いつも感心。料理を作りながら柳岡さんに調味料を買ってきて欲しい、と
駄々をこねる所が一番好きです。

3位 松本喜美子さん

いっぱい引き出しのある人だと思いますし、声が好き。
「女生徒」も「十六夜日記」も「冬のほたる」も、演じている役の人間の
生活感がちゃんと出ていて、こういう所が何とも言えないのです。